はじめに:プライベートラウンジを走らせる未来
2025年4月22日、Mercedes-Benzは上海モーターショーに先駆けて、新世代の全電動ラグジュアリーリムジンバンシリーズ「Vision V」を公開しました。CEOのOla Källenius氏は「私たちは“車輪の上のプライベートラウンジ”を皆さんにお見せしたい」と意欲を語り、中国市場を含むグローバル展開を見据えています。

VAN.EAプラットフォームとマーケット戦略
Vision Vの基盤となるのは、Mercedes-Benzが新たに開発した「Van Electric Architecture(VAN.EA)」プラットフォームです。電動専用設計ながら、後日ハイブリッド版を投入するためにVAN.CA(Van Combustion Architecture)も併用。VAN.EAは商用からプライベートまで多彩な車種展開を可能にし、プラットフォーム共通化でコストと開発期間を最適化しています。

エクステリアデザイン:彫刻的フォルムと先進照明
ボディは流麗かつ彫刻的なシルエットを描き、クロームトリムや光るルーヴァー(スリット)で精緻に装飾。24インチのスポークレスホイールや、グリル内外にちりばめられたイルミネーションが未来感を演出します。また、フロントには巨大なスリーポインテッドスターが浮き上がり、後部はラップアラウンドタイプのテールランプで引き締めています。

インテリア&プライベートラウンジ
コンセプト名のとおり、車内は「Private Lounge」を再現。大開口サイドポータルドアから足をかけるリトラクタブルランニングボードを介して乗り込むと、クリスタルホワイトのナッパレザー、磨き上げたオープンポアバールウッド、ポリッシュドアルミニウムが調和。後席にはリクライニング機構付ラウンジシートが左右向かい合わせに配置され、センターコンソールはタッチパッド式操作系と収納兼テーブル(チェスボード機能付)を内蔵しています。

デジタルエクスペリエンスとエンターテインメント
Vision Vは65インチのフレキシブル4K投影スクリーン(床下から展開)、7基のプロジェクター、42スピーカーのDolby Atmosサラウンドシステムを搭載。映画鑑賞、ゲーム、カラオケ、リラックスモード、バーチャルストア、ビデオ会議、ARナビゲーションなど、7つのデジタル体験モードによって、移動中のあらゆるニーズに応えます。運転席側には幅一杯のMercedes Superscreenが配され、ドライバーも高度な情報演出を享受可能です。
主要スペックと今後の展望
- 全長×全幅×全高:5,486 × 2,100 × 1,890 mm
- 駆動方式:初期は電動のみ(4×2/4Matic)、後にハイブリッド追加予定
- 乗員数:4~8名まで可変(フロアはフラット)
- 電圧システム:800Vアーキテクチャ
生産モデルは2026年から中国をはじめとする工場で順次ラインオフ予定。スペイン・ビトリア工場ではVLS(プライベート向けモデル)を製造する計画も明らかになっています。
ギャラリー
まとめ:ラグジュアリーMPVの新境地
「Vision V Concept」は、単なるコンセプトカーを超え、Mercedes-Benzが提唱する“ラグジュアリーMPV”という新たなセグメントを体現。S-Classを凌駕する快適性と先進性をもって、2026年以降の市場を塗り替える可能性を秘めています。今後の生産モデルにぜひご注目ください。