車の買取価格は販売価格の何割?
中古車検索サイトで自分と近い条件の車が200万円で売られていると、「買取店は150万円くらいで買ってくれるのでは?」と考える人もいるでしょう。
ただ、車の買取価格は販売価格の何割と一律には決まりません。
元車買取店勤務の経験では、査定額を決めるときに最も重視していたのは、店頭の販売価格ではなく業者オークション相場でした。
勤務先では買い取った車を基本的に業者オークションへ出品していたため、「店頭でいくらで売られているか」だけから買取額を逆算することはほとんどありませんでした。
車種、年式、走行距離、グレード、色、装備、状態に近い車が、業者間で実際にいくらで取引されているかを確認し、その金額から利益やリスクを考えて査定額を決めます。
ネット上には「販売価格の3〜4割」「5〜8割」「7〜8割」など、さまざまな目安があります。
これだけ幅があること自体が、販売価格だけでは実際の買取価格を判断しにくい理由です。
元車買取店勤務の現場では「販売価格」よりオークション相場を見ていた
私が勤務していた店舗は、買い取った車を基本的に業者オークションへ流す、買取専門に近い形でした。
そのため、査定では「この車を店頭でいくらで売るか」よりも、「業者オークションでどの程度なら売れそうか」を優先して考えていました。
年式・走行距離・グレード・色・装備まで近い車を探す
オークション相場を見るときは、同じ車種だけを見て判断するわけではありません。
年式、走行距離、グレード、ボディカラー、装備まで、査定する車にできるだけ近い条件の取引実績を確認します。
同じ車種でも、人気グレードかどうか、走行距離がどの程度か、定番色かどうかで相場は変わります。
「同じ車種だから同じ査定額」ではなく、できるだけ条件が近い車の実際の取引価格を見ることが重要です。
オークション相場から利益を残せる買取上限を考える
たとえば業者オークションで100万円程度の相場なら、私の勤務先では90万円前後が買取上限という感覚になることがありました。
実際の提示は、80万〜85万円程度から始める場合もあります。
ただし、これはあくまで当時の勤務先での一例です。
車両状態、相場の動き、店舗の販路、在庫状況、他社との比較などで変わるため、「オークション相場の何割が買取額」と固定的に考えることはできません。
販売価格と買取価格を単純に比較できない3つの理由
店頭販売価格と買取価格の差額を、そのまま買取店の利益だと考えるのは正確ではありません。
そもそも、売却先の形や価格が決まる順番が異なるからです。
買い取った車をそのまま店頭販売するとは限らない
買取店によっては、自社店舗で中古車として再販する車もあります。
一方で、私が勤務していたように、基本的に業者オークションへ流す店舗もあります。
輸出、専門店への販売、系列店への流通など、出口は店舗ごとに異なります。
同じ車でも、どこで再販できるかによって、買取店が出せる査定額は変わる可能性があります。
買取価格・オークション価格・店頭価格はそれぞれ違う
ユーザーから買い取る価格、業者オークションで落札される価格、中古車店で表示される販売価格は同じではありません。
店頭販売価格には、整備、清掃、保証、広告、陸送、人件費、在庫リスクなども含まれます。
中古車検索サイトに出ている価格は、あくまで販売店が提示している価格です。
その価格がそのまま成約価格とは限らず、まして自分の車の買取額でもありません。
買取店によって販路が違う
ある車種に強い専門店、輸出先を持つ業者、自社販売が得意な店舗など、買取店によって得意な販路は異なります。
他社の査定額を見て、「なぜその金額で買い取れるのか」と感じることは実際にありました。
ただ、自社の相場や販路で採算が合わなければ、その金額に無理に合わせることはありません。
査定額の差は、単に担当者のやる気だけでなく、再販先の違いによって生まれる場合があります。
100万円で買い取った車を120万円で売れば20万円儲かるわけではない
「100万円で買って120万円で売れたなら、20万円の利益」と考えると分かりやすいかもしれません。
しかし実際の買取では、買い取った時点で将来の売値が確定しているわけではありません。
売るまでに相場が下がることがある
100万円で買い取り、120万円程度で売れると見込んで出品したとします。
ところが、出品までの間に相場が下がれば、120万円では売れにくくなることがあります。
相場は車種や時期によって動き、場合によっては短期間でも変化します。
相場通りでもその価格で必ず売れるわけではない
相場を確認して出品しても、必ず買い手が付くとは限りません。
人気車種でも、仕様、色、状態、出品時期、会場での需要などによって売れないことはあります。
車買取は、相場表に金額を当てはめれば必ず利益が出るような単純な商売ではありません。
売れなければ赤字でも現金化することがある
120万円で売れないなら、価格を下げて再出品することになります。
それでも売れなければ、さらに価格を下げることもあります。
最終的に100万円を下回れば、1台単位では赤字です。
それでも在庫として抱え続けるより、赤字でも現金化した方がよいと判断する場面はあります。
逆に相場上昇で利益が増えることもある
反対に、買い取ったあとに相場が上がり、想定より高く売れることもあります。
買取店は、仕入れ時点でまだ確定していない将来の売値を予測しながら車を買い取っています。
だからこそ、相場が読みにくい車や売れにくい車は、慎重な査定額になりやすいのです。
買取店は最初から限界の査定額を提示するとは限らない
買取店も商売なので、利益を残せる範囲で少しでも安く仕入れたいと考えます。
これは、すべての買取店が不当に安く買おうとしているという意味ではありません。
売る側が少しでも高く売りたいように、買う側もリスクを抑えて仕入れたいという、通常の商取引の構造です。
買取店もできるだけ安く仕入れたい
私が勤務していた店舗でも、最初から限界額を提示するとは限りませんでした。
他社と比較されていない状況なら、少しでも安く買い取れた方が利益を残しやすいからです。
1社目の最初の査定額が、その店が出せる上限額とは限りません。
他社査定を見て金額を上げることもある
他社の査定額を確認し、その金額なら採算が合うと判断できれば、金額を上げることはありました。
ただし、他社の提示額が高すぎて利益を残せない場合は、無理に追わずに撤退します。
「比較すれば必ずどこまでも高くなる」わけではありません。
採算が合わなければ無理に追わない
買取店によって、得意な車種、在庫、予算、販路は違います。
その時点で最も高く評価できる条件がそろった業者が、高い査定額を出すことがあります。
複数社を比較する目的は、無理に競わせることではなく、自分の車を最も高く評価できる買取店を見つけることです。
同じ車でも買取店によって査定額が違うのはなぜ?
同じ車を査定に出しても、10万円や20万円以上の差が出ることはあります。
もちろん車両の見方や当日の状況もありますが、販路の違いは大きな理由の一つです。
車種によって得意な販路が違う
国内での小売が得意な店、輸出に強い店、特定ブランドに強い専門店などがあります。
特定の販路で需要がある車なら、他店より高く買い取れる場合があります。
とくに走行距離が多い車や輸入車などは、どの販路を持つ業者に届くかで評価が変わることがあります。
店舗によって出せる買取上限が違う
相場が同じでも、店舗の在庫、資金、販売計画、得意分野によって買取上限は変わります。
そのため、1社の査定額だけで「自分の車の価値はこの金額」と決めるのは早すぎます。
売却前に相場の見方を知りたい方は、車を売る前の相場の調べ方も参考にしてください。
車の状態は買取価格にどこまで影響する?
車両状態は査定に影響します。
ただし、状態が良いからといって市場相場を大きく超える価格になるわけではありません。
修復歴・臭い・純正パーツ欠品はマイナスになりやすい
実務上、修復歴は大きなマイナス要素でした。
車内の強い臭いも、完全な消臭が難しいため評価を下げやすい項目です。
また、カスタム内容によっては純正パーツがないことで査定に影響する場合もあります。
純正パーツが査定に与える影響は、純正パーツは査定で有利?車を売る前に確認したいことで詳しく解説しています。
どれだけきれいでも市場相場以上にはなりにくい
走行距離が少なく、オプションが多く、内外装がきれいでも、その車種の中古市場で需要が弱ければ高額査定は出しにくくなります。
反対に、多少走行距離が伸びていても人気車種なら、再販しやすいため高く評価できる場合があります。
査定額は「車が高級か」「きれいか」だけではなく、中古車市場でその車を欲しがる人がいるかどうかで決まります。
査定前の洗車や清掃については、車査定前の洗車は必要?査定額への影響と注意点を確認してください。
元車買取店勤務の私なら最低3社を同じ日に比較する
私が今、自分の車を売るなら、最初に相場を確認したうえで、同じ日に3社以上の査定を受けます。
その理由は、査定額を比較しやすく、各社の販路による評価差も確認しやすいからです。
1社だけでは査定額が高いか安いか判断しにくい
提示額が高いかどうかは、1社だけでは分かりません。
特に店頭販売価格だけを見て「安い」と感じても、その店の販路やオークション相場では妥当な場合があります。
複数の見積もりを並べて初めて、自分の車を高く評価する業者がいるかを確認しやすくなります。
同日査定なら同じ相場条件で比較しやすい
数日や数週間に分けて査定を受けると、その間に相場が動く可能性があります。
同日にそろえれば、より近い市場条件で査定額を比較できます。
査定額を比べるなら、できるだけ同じ日に3社以上へ依頼する方が判断しやすいと考えています。
他社査定を材料に交渉する
他社の提示額を伝えることで、条件次第では査定額が上がることがあります。
ただし、無理な金額まで上げてもらうことを目的にする必要はありません。
金額だけでなく、引き渡し日、入金日、契約条件も確認し、納得できる業者を選びましょう。
比較の目的は最も高く評価できる買取店を見つけること
査定は、必ず売ると決めてから受けるものではありません。
今の車の価値を知り、売却するか、乗り続けるかを判断する材料にもなります。
査定だけ受けたい場合の考え方は、車買取は査定だけでも利用できる?売らなくても大丈夫?で確認できます。
一括査定が自分に向くか迷う方は、申し込む前に車一括査定はやめた方がいい?向いている人・向いていない人も読んでおくと安心です。
まとめ|買取価格は販売価格の何割かでは判断できない
車の買取価格は、販売価格の何割と一律には決まりません。
元車買取店勤務の経験では、査定額を決める際に最も重視していたのは、条件の近い車の業者オークション相場でした。
買取店は、相場、再販先、在庫リスク、相場変動などを考慮して査定額を決めます。
提示額が妥当かを判断するには、販売価格だけで逆算せず、相場を確認したうえで複数社の査定額を比べることが大切です。
より高く売るための準備や比較の進め方は、車を高く売る方法でまとめています。


