はじめに
日産フェアレディZ(RZ34型)は、伝統あるZの血統を現代に受け継ぐ最新スポーツカーです。
初代240Zを思わせるクラシカルなデザインと、405psを誇るV6ツインターボエンジンによる圧倒的な走りは、多くのファンを魅了しています。
しかし実際に購入したオーナーからは「買って良かった!」という声と同時に、「ここはちょっと残念…」という意見も。
この記事では、RZ34型フェアレディZを購入したときのメリットとデメリットを分かりやすく解説し、スポーツカー選びに役立つ視点をお届けします。
日産フェアレディZ(RZ34型)のエクステリアデザイン
RZ34型フェアレディZのエクステリアは、「伝統の継承と現代的な進化」をコンセプトに仕上げられており、歴代Zのデザインアイコンを随所に取り入れながらも、新しい時代のスポーツカーらしい精悍さを持っています。
フロントデザイン
フロントマスクは初代S30型(240Z)をオマージュしたロングノーズのシルエットに、スクエア形状の大型グリルを配置。この開口部はシンプルで力強い印象を与えつつ、高出力V6ツインターボエンジンの冷却性能も考慮されています。ヘッドランプは現代的なLEDを採用し、半月型のシグネチャーランプは240ZG(1970年代)のカバー付きヘッドライトを思わせるクラシカルなモチーフです。
サイドビュー
サイドは「ロングノーズ・ショートデッキ」の伝統的なプロポーションを踏襲し、低く構えたシルエットと流麗なルーフラインが特徴です。前後フェンダーの張り出しは筋肉質で、後輪駆動の力強さを強調。ホイールベースは先代Z34からほぼ据え置きですが、全体のラインをよりシャープに整えることで、現代的で引き締まった印象を与えています。
リアデザイン
リアはZ32型フェアレディZ(1989年〜2000年)の意匠を取り入れた横一文字のLEDテールランプが最大の特徴。ブラックアウト処理されたリアパネルにテールを一体化させることで、ワイド感と低重心感を強調しています。さらに、デュアルマフラーとディフューザー風の造形がスポーティさを際立たせています。
ボディカラー
ボディカラーは伝統の「イカズチイエロー」「セイランブルー」など、歴代モデルを意識した鮮やかな色合いに加え、モノトーンや2トーンルーフ仕様も用意。とくにブラックルーフとのコンビネーションはシルエットをより精悍に見せ、現代的なスポーツカーらしさを演出しています。
ホイールデザイン
標準仕様では18インチアルミホイールを装備し、上級グレードでは19インチ鍛造アルミを採用。スポークデザインはシンプルながら立体的で、足元に迫力を持たせています。ブレーキキャリパーには「Z」のロゴが入り、視覚的にもスポーティさを強調しています。
まとめ
RZ34型のエクステリアは、240Zのクラシカルな雰囲気、Z32の先進性、そして現代のスポーツカーらしいダイナミズムを融合したデザインです。Zの伝統を知るファンにとっては懐かしさを、初めてZに触れる世代には新鮮さを感じさせるスタイルに仕上げられています。
日産フェアレディZ(RZ34型)のインテリアデザイン
RZ34型のインテリアは「ドライバー中心のコックピット」をテーマに開発されており、スポーツカーとしての走りの楽しさと、日常的な快適さを両立しています。伝統を感じさせる意匠と最新技術の融合が大きな特徴です。
コックピットデザイン
運転席まわりはドライバーを包み込むようなデザインで、メーター、シフト、スイッチ類が自然に手の届く位置にレイアウトされています。低い着座位置と高いセンターコンソールにより、スポーツカーらしい「操る感覚」を強調。ステアリングは小径で握りやすく、アルカンターラや本革があしらわれ、質感と操作性を両立しています。
メーター & ディスプレイ
メーターパネルには12.3インチのフルデジタルディスプレイを採用。中央に大型タコメーターを配したスポーツカーらしい3眼風レイアウトで、ブースト計やシフトポジション、油温など走行に必要な情報を明快に表示できます。さらに、センター上部には3連メーター(ブースト計、ターボ回転計、電圧計)を配置し、歴代Zの伝統を継承しています。
シートと快適性
シートはホールド性と快適性を兼ね備えたスポーツシートを採用。特にGTグレードでは本革やスエード調素材を組み合わせ、高級感と耐久性を高めています。ロングドライブでも疲れにくいよう設計されており、サーキット走行から普段使いまで幅広く対応可能です。
インフォテインメント & 装備
中央には8インチまたは9インチのタッチスクリーンを搭載し、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応。ナビゲーション、オーディオ、車両情報を直感的に操作できます。USBポートやワイヤレス充電機能も備わり、現代のライフスタイルに合った利便性を確保しています。BOSEプレミアムサウンドシステムが選択可能で、走行時でも迫力ある音楽を楽しめます。
室内の質感
ダッシュボードやドアトリムにはソフトパッドや上質な素材を採用し、スポーティでありながら上品な雰囲気を演出。ブラックを基調としつつ、ブルーやイエローなどボディカラーに合わせたアクセントカラーを選べる仕様もあり、オーナーの個性を反映できます。
まとめ
RZ34型フェアレディZのインテリアは、走りを楽しむための機能性と、現代的な快適性を融合した空間です。伝統の3連メーターやスポーツシートはZらしさを表現しつつ、デジタルディスプレイや最新インフォテインメントが新しい時代のスポーツカーとしての利便性を高めています。
日産フェアレディZ(RZ34型)のパワーと性能
RZ34型フェアレディZは、伝統のFRスポーツカーとしての走りをさらに磨き上げ、日常からサーキットまで楽しめるパフォーマンスを備えています。特に心臓部のV6ツインターボエンジンは、歴代モデルの中でも高い出力を誇ります。
エンジン性能
搭載されるのは「VR30DDTT」型3.0リッターV6ツインターボエンジン。最高出力は405ps(298kW)、最大トルクは475Nmを発揮し、先代Z34型(3.7L自然吸気V6)の336psを大幅に上回っています。ツインターボの恩恵で低回転域から豊かなトルクを発生し、街中でも力強い加速を体感できます。
トランスミッション
トランスミッションは2種類を用意。
- 6速マニュアル(MT):クラッチ操作のフィーリングを重視し、機械的な一体感を楽しめる。シンクロレブコントロールを採用し、ヒール&トゥを再現するようなスムーズなシフトダウンが可能。
- 9速オートマチック(AT):素早い変速レスポンスを持ち、日常の快適性とスポーツ走行を両立。パドルシフトによりマニュアル感覚で操作することもできます。
加速性能
0-100km/h加速は約4.5秒と公表されており、同クラスのスポーツカーと比べても十分に速い部類。ターボならではの瞬発力とリニアなパワーフィールで、直線加速から高速道路の合流、サーキット走行まで余裕を見せます。
サウンドとドライビングフィール
V6ツインターボ特有の低音を効かせたサウンドは迫力があり、スポーツカーらしい高揚感を演出。マニュアルではシフト操作によるエンジン回転の変化をダイレクトに楽しめ、オートマチックでは変速の鋭さとスムーズさが際立ちます。ドライバーの操作に即応するレスポンスは、Zならではの「人馬一体感」を強調しています。
まとめ
RZ34型フェアレディZは、405psのV6ツインターボが生み出す圧倒的な加速性能と、MT/ATどちらでも楽しめる多様なドライビングフィールを備えています。街乗りの扱いやすさからサーキットでの本格走行まで、幅広いシーンで「走る歓び」を提供するパワートレインが、このZの大きな魅力です。
日産フェアレディZ(RZ34型)のシャシーと足回り
RZ34型は、歴代Zの伝統であるFRレイアウトを継承しつつ、最新技術を盛り込み、より高い操縦安定性と快適性を実現しています。シャシーと足回りの進化は、パワフルなV6ツインターボエンジンの性能を余すことなく引き出すための重要な要素です。
プラットフォームとボディ剛性
RZ34は先代Z34型のプラットフォームをベースに大幅改良され、ボディ剛性が約10%向上。サスペンション取付部の補強や構造材の強化によって、コーナリング時のねじれや不要な動きを抑え、より正確なステアリングレスポンスを実現しています。これにより、高速走行時の安定感やスポーツ走行でのコントロール性が飛躍的に向上しました。
サスペンション
前輪はダブルウィッシュボーン式、後輪はマルチリンク式を採用。サスペンションジオメトリーの見直しや新ダンパーの採用により、路面追従性が向上し、コーナリング時の接地感を高めています。街乗りでは快適な乗り心地を確保しながら、ワインディングやサーキットでは高いグリップ力と安定性を発揮します。
ステアリングとブレーキ
新開発の電動パワーステアリングは自然な操舵フィールを重視し、速度域や走行シーンに応じて適切なアシストを提供。市街地では軽快に、高速域ではどっしりとした安定感を感じられます。
また、大径ブレーキディスクと4ピストンキャリパー(フロント)を採用し、強力かつコントローラブルな制動性能を確保。上級グレードではブレンボ製ブレーキも装備され、ハードな走行でもフェードしにくい制動力を発揮します。
LSDと駆動制御
上級グレードには機械式リミテッドスリップデフ(LSD)が搭載され、後輪へのトルク配分を最適化。コーナー立ち上がりでのトラクションを高め、スポーツ走行時によりアグレッシブな加速を可能にします。また、車両挙動制御システム(VDC)は介入を最小限に抑えつつ、安全性と楽しさを両立するチューニングが施されています。
まとめ
RZ34型フェアレディZのシャシーと足回りは、強化されたボディ剛性、進化したサスペンション、新開発のステアリング、強力なブレーキシステムによって、スポーツカーとしての性能を大幅に高めています。街中からサーキットまで、多様なシーンで「思い通りに操れる楽しさ」を提供してくれる仕上がりです。
日産フェアレディZ(RZ34型)の安全性能
RZ34型フェアレディZは、ピュアスポーツカーでありながら、現代のクルマに求められる高い安全性能をしっかり備えています。運転支援システム「日産インテリジェントモビリティ」を搭載し、走りの楽しさと同時に安心感を提供しているのが特徴です。
先進運転支援システム(ADAS)
RZ34には最新のドライバーアシスト技術が標準装備されており、スポーツドライビング時はもちろん、日常の運転でも安心を支えます。
- インテリジェント エマージェンシーブレーキ(自動緊急ブレーキ):前方の車両や歩行者を検知し、衝突回避または被害軽減をサポート。
- インテリジェント クルーズコントロール:前走車との車間距離を自動調整し、高速道路でのロングドライブを快適に。
- 車線逸脱警報(LDW)/車線逸脱防止支援(LDP):不注意による車線のはみ出しを警告、必要に応じてステアリングを補正。
- ブラインドスポット警告(BSW):死角に車両が接近した場合にドライバーへ知らせ、安全な車線変更を支援。
- 後側方衝突防止支援(BSI):側方からの接近車両を検知し、衝突回避をサポート。
- 後退時車両検知警報(RCTA):駐車場からの後退時に左右から近づく車を検知して警告。
パッシブセーフティ(衝突安全性)
高強度のボディ構造を採用し、衝撃エネルギーを効率よく吸収・分散。運転席・助手席のフロントエアバッグに加え、サイドエアバッグやカーテンエアバッグも装備され、万が一の衝突時に乗員を保護します。シートベルトにもプリテンショナー機構を採用し、瞬時に体をしっかりと固定。
夜間・視界安全サポート
LEDヘッドライトは明るさと配光に優れ、夜間走行時の視認性を大幅に向上。さらに、オートハイビーム機能により対向車や周囲の状況を検知して自動で切り替え、ドライバーの負担を軽減します。
まとめ
RZ34型フェアレディZの安全性能は、スポーツカーらしい走りの刺激を存分に楽しみながら、最新の運転支援システムや衝突安全技術によって安心感も両立しています。ハイパフォーマンスを誇りつつも、日常的に使える安心感を持ち合わせた「現代のZ」として、多くのドライバーにフィットする仕上がりです。
日産フェアレディZ(RZ34型)を買って良かった点・悪かった点
RZ34型フェアレディZは、伝統を受け継ぐスポーツカーとして高く評価されつつ、実際にオーナーからは「買って良かった!」という声と「ここは改善してほしい」という声の両方が挙がっています。ここでは、それぞれのポイントを整理してご紹介します。
✅ 買って良かった点(メリット)
- デザインの魅力
- 初代240ZやZ32を彷彿とさせるクラシカルなデザインに最新技術を融合。懐かしさと新しさが共存し、所有欲を強く満たすスタイリング。
- V6ツインターボのパワー
- 405psを発揮する3.0Lツインターボは力強く、0-100km/h加速は約4.5秒。日常の加速からサーキット走行まで楽しめる余裕のある性能。
- MT/ATの選択肢
- 6速MTはシンクロレブコントロール付きで操作感が抜群。9速ATはスムーズで、街乗りや長距離でも快適。ドライバーのスタイルに合わせて選べるのが魅力。
- 伝統と現代技術の融合
- 歴代Zの象徴である3連メーターを継承しつつ、最新のデジタルメーターやインフォテインメントを搭載。スポーツカーでありながら快適性も確保。
- 比較的リーズナブルな価格設定
- 輸入スポーツカーに比べて、これだけの性能とデザインを持ちながら価格が抑えられており、コストパフォーマンスが高い。
❌ 買って悪かった点(デメリット)
- 後席がない・実用性の低さ
- 2シーターのため後部座席はなく、荷室も限られる。普段使いやファミリーユースには不向き。
- 車重の重さ
- 車両重量は約1.6トンと決して軽くはなく、俊敏さではライバルの軽量スポーツカーに劣る場面もある。
- 燃費性能
- 公式燃費は約9〜10km/L程度で、ハイオク指定。維持費はやや高めで、日常的な経済性を求める人には不向き。
- 内装の一部質感
- メーターや操作系は進化している一方、樹脂パーツが多く「高級感」に欠けると感じるユーザーも。輸入車と比較すると内装の質感はやや劣る。
- 納期・入手の難しさ
- 発売直後から人気が集中し、注文から納車まで時間がかかるケースが多い。欲しくてもすぐに手に入らないのが難点。
まとめ
RZ34型フェアレディZは、クラシカルなデザイン・405psの力強さ・MTとATの選択肢・最新技術との融合といった点で高い満足感を与えてくれるスポーツカーです。一方で、実用性の低さ・燃費・内装の質感・車重などに不満を感じる声もあります。
総合的に見ると、日常の実用性よりも「走りの楽しさ」と「所有する喜び」を重視する人にとっては、買って良かったと思える一台だといえます。
ギャラリー
さいごに
RZ34型フェアレディZは、デザイン・パワー・伝統と最新技術の融合といった面で強い満足感を与えてくれる一台です。
クラシカルな美しさと現代的な走行性能を兼ね備え、まさに「所有する喜び」を実感できるモデルといえるでしょう。一方で、2シーターゆえの実用性の低さ、燃費や維持費、内装の質感といった面には妥協が必要です。
つまり、このクルマは「日常の利便性よりも、走りの楽しさや憧れを優先したい人」にぴったりのスポーツカーです。RZ34型フェアレディZを手に入れることは、単なる移動手段ではなく「夢を所有する」体験そのものになるでしょう。

