はじめに
フェラーリは2025年4月、待望の高性能モデル「296スペチアーレ」とそのオープン仕様「296スペチアーレA(アペルタ)」を同時発表しました。
2021年に登場した「296GTB」をベースに、モータースポーツの技術を惜しみなく注ぎ込んだ特別仕様車であり、フェラーリのハイブリッド技術の到達点を示す一台です。
この記事では両モデルの違いから共通の技術、価格、発売時期まで詳しく解説します。

デザイン:レーシングとエレガンスの融合
両モデルともに、「296チャレンジ」や「296GT3」の技術をベースにした新設計のフロントバンパーやリアディフューザー、そしてアクティブ・エアロによって、従来型比でダウンフォースを最大20%も向上。
「スペチアーレA」では、リトラクタブルハードトップを備えつつ、美しいリアデザインと空力性能を高次元で両立。軽量素材を徹底使用したことで、クーペ(スペチアーレ)では約60kg、オープン(スペチアーレA)でも約50kgの軽量化に成功しています。
パワートレイン:V6+PHEVで880馬力を誇る
両モデルに共通する心臓部は、3.0リッターV6ターボエンジン「F163」。シリンダーヘッドにはF1のノウハウが反映され、チタン製コンロッドや軽量クランクなど、専用チューニングによりエンジン単体で700馬力を発揮。
さらにハイブリッドモーターを組み合わせることで、システム総出力は驚異の880馬力に到達。0-100km/h加速は約2.6秒、最高速度は330km/h以上と、V6ながらV12並みのパフォーマンスを誇ります。
シャシーとテクノロジー:ドライビングの極みへ
カーボンファイバー製の各部構造により、剛性と軽量性を両立。さらに、電子制御も進化しており、「ABS Evo」や「eSSC(電制サイドスリップコントロール)」の新世代版が搭載されています。
ドライバーの要求に瞬時に反応する「エクストラブースト機能」や、瞬時にシフトチェンジを完了させる「高速変速戦略」も両モデルに共通採用され、まさに“人馬一体”の操縦性が実現されています。
インテリア:軽量化とドライビングへの集中
内装は極限までの軽量化を追求し、カーボンファイバーとアルカンタラを多用。新設計のドアパネルや、必要最低限のインターフェースがレーシングカーのような雰囲気を演出します。
「スペチアーレA」ではオープンエアの爽快感も加わり、視覚と聴覚の両面でフェラーリならではの高揚感を楽しめる空間となっています。
価格・発売時期:限定感もフェラーリならでは
イタリアでの価格は以下の通りです。
- 296 スペチアーレ:407,000ユーロ(約6,650万円)
- 296 スペチアーレA:462,000ユーロ(約7,540万円)
クーペは2026年初頭、コンバーチブルは同年第2四半期にデリバリー開始予定。フェラーリの既存顧客を中心に優先販売され、台数は非常に限られています。

ギャラリー:296スペチアーレ
ギャラリー:296スペチアーレA
まとめ:フェラーリの未来を象徴する2台
「296スペチアーレ」と「296スペチアーレA」は、フェラーリがこれまで築いてきたモータースポーツとロードカーの融合をさらに推し進めたハイブリッドスーパーカーの集大成です。
今後登場予定のフル電動モデルに向けた重要なブリッジモデルとして、電動化時代のフェラーリの「熱」をしっかりと感じさせてくれる存在です。
限られた人にしか味わえない一台、その価値は今後さらに高まることでしょう。
