はじめに
懐かしさとスタイリッシュさが同居するリトラクタブルヘッドライト。
かつて日本のスポーツカーやクーペを象徴するデザインとして、数多くの名車に採用されてきました。その開閉式ヘッドライトは、車好きの心を掴むだけでなく、時代を超えて人々に愛される存在です。
今回は、そんなリトラクタブルヘッドライトを搭載した国産車の中から、特に注目すべき16台を厳選してご紹介します!これを読めば、あの頃の憧れや熱い思い出が蘇ること間違いありません。
■本記事の内容
2:トヨタ:セリカXX
3:トヨタ:スプリンタートレノ(AE86)
4:トヨタ:MR-2(AW10/11型)
5:トヨタ:セリカ(T160型)
6:トヨタ:スープラ(A70型)
7:トヨタ:MR-2(SW20/21型)
8:日産:180SX
9:ホンダ:プレリュード(AB/BA1型)
10:ホンダ:プレリュード(BA4/5/7型)
11:ホンダ:NSX(NA1/2型)
12:マツダ:ロードスター(NA)
13:マツダ:サバンナRX-7(SA22C(FB3S)型)
14:マツダ:サバンナRX-7(FC3S・FC3C型)
15:マツダ:RX-7(FD3S型)
16:三菱:GTO
リトラクタブルヘッドライトとは
リトラクタブルヘッドライトは、開閉式のヘッドライトのことで、普段は車体に格納され、必要に応じてせり出して機能します。この特徴的なデザインは、1950年代後半に登場し、特に1970年代から1990年代にかけてスポーツカーや高性能車で多く採用されました。リトラクタブルヘッドライトは、スタイリッシュで未来的な印象を与えると同時に、エアロダイナミクスの向上にも寄与しました。
格納式のメカニズムにより、ライトが収納されている間は車体表面が滑らかになるため、空気抵抗を減らし、高速走行時の性能向上に役立ちました。また、ライトを必要としないときには車のフロントデザインが一体感を持ち、独特のスタイルを実現できるというメリットもありました。スイッチ一つでライトが動き出す動作は、機械的な美しさを感じさせ、車好きにとっては特別な魅力を持つものでした。
しかし、2000年代以降、リトラクタブルヘッドライトはほとんど見られなくなりました。その背景には、衝突安全基準の厳格化や製造コストの増加、デザインの進化などがあります。特に、歩行者保護の観点から、ポップアップする構造が不利とされ、固定式のヘッドライトが主流となりました。また、LEDやHIDなど新技術を活用した固定式ヘッドライトがスリムかつ明るく、デザイン面でも利便性が高まったことも要因です。
現在では、新車でリトラクタブルヘッドライトを搭載する車両はほぼ皆無ですが、クラシックカーやビンテージカーとして、これを装備した車は非常に高い人気を誇ります。その動作やデザインは、単なる機能以上の特別感を提供し、時代を超えて愛されています。リトラクタブルヘッドライトは、自動車史において一時代を築いた象徴的な技術であり、車好きにとっては「心を動かすギミック」として今も特別な存在です。
トヨタ:2000GT
トヨタ 2000GTは、1967年にトヨタ自動車が発表した日本初の本格的なスポーツカーで、世界中の自動車ファンから高い評価を受けています。そのデザインは流れるような曲線美とロングノーズ・ショートデッキのスタイルが特徴で、クラシックカーの象徴的存在として知られています。映画『007は二度死ぬ』に登場したことで、国際的な知名度をさらに高めました。
エンジンには、ヤマハ発動機と共同で開発された2.0L DOHC直列6気筒エンジンを搭載。最大出力150馬力、最高速度220km/hを誇り、当時のスポーツカーとしては驚異的な性能を実現しました。また、日本車初の4輪ディスクブレーキや前後独立懸架サスペンションを採用するなど、技術的にも先進的なモデルでした。
生産台数はわずか337台と非常に少なく、製造期間も1967年から1970年までの短期間に限定されています。その希少性から現在ではコレクターズアイテムとして高額で取引され、オークションでは1億円を超える価格で落札されることもあります。特にロードスター仕様(オープンカータイプ)はさらに希少で、多くの愛好家から憧れの的となっています。
トヨタ 2000GTは、その後のトヨタのスポーツカー開発にも大きな影響を与えました。たとえば、トヨタ スープラやレクサスLFAなど、トヨタのフラッグシップモデルには2000GTの精神が受け継がれています。現在でもクラシックカーイベントで展示されることが多く、その優雅なデザインと高性能は世代を超えて愛されています。
トヨタ 2000GTは、日本が誇る名車として、時代を超えた価値を持つ一台です。その存在は、日本車の可能性を示しただけでなく、世界のスポーツカー市場における日本の地位を確立する一助となりました。この名車を知ることは、日本の自動車史をより深く理解するきっかけとなるでしょう。
トヨタ:セリカXX
セリカXX(ダブルエックス)は、トヨタが1978年から1986年にかけて生産したスペシャリティカーで、セリカシリーズの高性能モデルとして登場しました。北米市場では「トヨタ・スープラ(Supra)」として販売され、その名が後継車両にも引き継がれるなど、トヨタのスポーツカー史において重要な位置を占めるモデルです。
セリカXXの開発は、従来のセリカをベースにしつつ、よりラグジュアリーかつスポーティな車を提供することを目指して行われました。スタイリッシュなデザインに加え、上級グレードには直列6気筒エンジンを搭載することで、ゆとりある走行性能を実現しています。
初代(A40型、1978年-1981年)は、セリカから200mm延長されたホイールベースが特徴で、より大型のエンジンを搭載可能にしました。直列6気筒エンジンの採用により、滑らかな走行フィールと静粛性が魅力となりました。また、エクステリアはシャープなリトラクタブルヘッドライトを採用し、当時のスポーツカーらしい洗練された印象を与えます。
2代目(A60型、1981年-1986年)は、より空力を意識したデザインとなり、直線的でモダンなスタイリングが特徴です。エンジンには2.8L 直列6気筒エンジン「5M-GEU」や2.0L ターボエンジン「M-TEU」など、バリエーション豊かなラインナップが用意されました。この世代では、電子制御技術が積極的に取り入れられ、デジタルメーターや電子制御サスペンション(TEMS)など、先進装備が多数搭載されています。
セリカXXは、日本市場での販売期間こそ短かったものの、現在でも多くのファンに支持されています。その理由のひとつは、トヨタのスポーツカーの中でもラグジュアリーな要素を兼ね備え、快適性と走行性能を両立していた点です。また、直列6気筒エンジンによる力強い走りと独特のフィーリングは、現代の車では味わえない魅力を持っています。
さらに、セリカXXは、トヨタの名車「スープラ」シリーズの起源ともいえるモデルであり、その歴史的な意義も特筆すべき点です。初代スープラは、セリカXXが北米市場で改名されたモデルで、以降のスープラシリーズへと進化していきました。
セリカXXは、トヨタのスポーツカーの歴史において重要な役割を果たしただけでなく、その独自のスタイルや走行性能で多くのファンを魅了してきました。クラシックカーとしての価値も高まりつつあり、希少な車両として今なお注目されています。
トヨタ:スプリンタートレノ(AE86)
スプリンタートレノAE86(通称「ハチロク」)は、トヨタ自動車が1983年から1987年にかけて製造したコンパクトスポーツカーで、スポーツ走行と日常利用を両立させた車として多くのファンに愛されました。特にその軽量ボディとFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウトは、走行性能の高さを引き出す要因となり、現在でもカーレースやドリフトシーンで語り継がれています。
AE86は、スプリンタートレノとカローラレビンの2種類がラインナップされており、それぞれライトデザインやフロントフェイスに違いがありました。トレノはリトラクタブルヘッドライトを採用し、スポーティな外観が特徴です。一方、レビンは固定式ヘッドライトで力強さを表現しています。これら2つのモデルは基本性能を共有しながらも、デザインの好みによって選ばれることが多かったです。
搭載されたエンジンは、名機と呼ばれる1.6L DOHC 4気筒エンジン「4A-GEU」です。このエンジンは、高回転域での伸びや鋭いレスポンスが特徴で、最大出力130馬力を発揮。軽量な車体との組み合わせにより、峠道やサーキットでその性能を余すところなく発揮しました。
AE86が特に注目を浴びたのは、漫画・アニメ『頭文字D』の主人公・藤原拓海が愛車として使用していたことです。この作品により、AE86は若者を中心に一躍有名になり、ドリフト文化の象徴的な存在となりました。さらに、軽量FR車という独特の駆動方式やハンドリング性能の良さが評価され、現在でも愛好家が多く存在します。
AE86は、製造終了後も中古市場で高い人気を誇り、状態の良い車両は高値で取引されています。また、エンジンや足回りのカスタマイズが豊富に行われており、自分好みの1台を作り上げる楽しさがある点も魅力のひとつです。
スプリンタートレノAE86は、トヨタのスポーツカーの歴史において重要な役割を果たし、走行性能や文化的影響からも、その価値は色あせることがありません。ハチロクは、運転の楽しさや車との一体感を追求するドライバーにとって、永遠に魅力的な存在であり続けています。
トヨタ:MR-2(AW10/11型)
トヨタ MR2(AW10/AW11型)は、1984年に登場したトヨタ初の量産ミッドシップスポーツカーで、小型・軽量ながら高い走行性能を誇るモデルです。この車は、手軽に楽しめるミッドシップ車として、多くのファンに愛され、トヨタのスポーツカーの歴史に名を刻みました。
MR2という名称は、「ミッドシップ・ランアバウト2シーター」の頭文字をとったもので、車名の通り、2シーターのミッドシップエンジンレイアウトを採用しています。このレイアウトは、エンジンを車両中央に配置することで前後重量配分を最適化し、優れたハンドリングとコーナリング性能を実現しました。
MR2のデザインは、直線的で未来的なスタイルが特徴で、軽快さとスポーティさを併せ持っています。リトラクタブルヘッドライトを採用し、シャープで特徴的なフロントフェイスが、当時のスポーツカーらしい個性を表現しています。また、軽量なボディ構造により、総重量を抑えることでスポーツカーとしての性能を最大限に引き出しました。
AW10型は、1.5L 直列4気筒エンジン「3A-LU」を搭載したエントリーモデルとして設計され、燃費性能と扱いやすさを重視しています。一方、AW11型は、よりパワフルな1.6L DOHCエンジン「4A-GE」を搭載し、最大出力120馬力を発揮。軽量な車体との組み合わせにより、スポーティで刺激的な走行性能を実現しました。
さらに、AW11型にはスーパーチャージャーを搭載した「4A-GZE」エンジンモデルも設定されました。このエンジンは最大出力145馬力を発揮し、低速域から力強い加速を提供します。スーパーチャージャー付きモデルは、より高いパフォーマンスを求めるドライバーに向けた選択肢として注目されました。
MR2のサスペンションは、フロントにストラット式、リアにストラット式を採用。ミッドシップレイアウトによる低い重心と相まって、優れたコーナリング性能と安定性を発揮します。そのため、一般道だけでなくサーキットやワインディングロードでも高い評価を得ました。
この車は、1984年に日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、その革新性と走行性能が広く認められました。また、手の届く価格帯でミッドシップ車を楽しめる点が、多くのユーザーを魅了しました。
現在、AW10/AW11型のMR2は、クラシックカーとして再評価されており、特にスーパーチャージャー付きモデルや良好な状態の車両は高い人気を誇っています。その軽快なハンドリングと独自のスタイルは、時代を超えても色あせることなく、ミッドシップスポーツカーの楽しさを伝え続けています。
トヨタ:セリカ(T160型)
トヨタ・セリカ T160型は、1985年から1989年にかけて製造されたセリカシリーズの5代目モデルです。この世代から駆動方式が従来のFR(フロントエンジン・リアドライブ)からFF(フロントエンジン・フロントドライブ)へと変更され、セリカの新時代を象徴する車種となりました。また、4WDモデルもラインナップに加わり、後のラリーチャンピオンモデルとなるGT-FOURの礎を築いた重要なモデルです。
T160型のデザインは、従来の直線的なデザインから流れるような曲線を取り入れたフォルムに進化し、空力性能を重視したスムーズな外観が特徴です。リトラクタブルヘッドライトを引き続き採用し、スポーティでエレガントな印象を与えるデザインは、国内外で高い評価を受けました。ボディタイプは3ドアリフトバッククーペと2ドアクーペが用意され、多様なユーザーのニーズに応えました。
エンジンには、トヨタの信頼性の高い直列4気筒エンジンが採用され、特に注目されたのは「3S-GELU」エンジンです。この2.0L DOHCエンジンは、自然吸気ながら高回転域でのパワフルな性能を発揮し、スポーツドライビングを楽しむユーザーに人気でした。また、ターボチャージャーを搭載した「3S-GTEU」エンジンは、最大出力185馬力を発揮し、GT-FOURの力強い走行性能を支えました。
この時期のセリカは、WRC(世界ラリー選手権)での成功を目指したトヨタの意欲が込められています。特に1987年に登場した4WDモデル「GT-FOUR(ST165)」は、T160型セリカの中でも象徴的な存在で、後のラリーでの活躍により「ラリーレジェンド」としての地位を確立しました。GT-FOURは、4WDシステムと3S-GTEエンジンを搭載し、悪路での高い走破性能と高速域での安定したハンドリングを実現しました。
また、T160型セリカは、快適装備も充実しており、デジタルメーターやパワーウィンドウ、オートエアコンなどが搭載され、日常の使い勝手も良好です。そのため、スポーツカーとしての性能と実用性を両立させたモデルとして、多くのユーザーに支持されました。
現在、T160型セリカはクラシックカーとして再評価されつつあり、特にGT-FOURモデルや良好な状態の車両は高い人気を誇っています。そのデザイン、走行性能、そしてトヨタのモータースポーツへの挑戦を象徴する車として、T160型セリカは今なお多くのファンを魅了し続けています。
トヨタ:スープラ(A70型)
トヨタ 70スープラ(A70型)は、1986年から1993年にかけて製造されたトヨタのフラッグシップスポーツカーで、セリカXXから独立したモデルとして登場しました。そのデザインは直線的で力強く、リトラクタブルヘッドライトやロングノーズ・ショートデッキのプロポーションが特徴的です。空力を意識したボディ設計により、Cd値は0.32を達成し、スポーティさと実用性を兼ね備えた一台として注目を集めました。
エンジンラインナップには、トヨタの直列6気筒エンジンが採用され、多彩なバリエーションが用意されました。中でも「7M-GTE」エンジンは、3.0Lターボで最大230馬力を発揮し、高速域での力強い加速とスムーズな回転フィーリングが魅力です。その他にも、2.0Lターボの「1G-GTEU」エンジンや自然吸気エンジンの選択肢があり、用途や好みに応じた選択が可能でした。
70スープラには、トヨタが当時誇る先進技術が多数搭載されていました。電子制御サスペンション(TEMS)により、快適性とスポーツ性能を両立。デジタルメーターや電動シートなどの快適装備も充実しており、日常利用からロングドライブまで幅広く対応しました。これらの装備が、スポーツカーとしての楽しさだけでなく、グランドツーリングカーとしての使い勝手の良さを際立たせています。
モータースポーツでもそのポテンシャルを発揮し、全日本ツーリングカー選手権(JTC)をはじめとするさまざまなレースで活躍しました。FRレイアウトと優れた重量配分により、優れたハンドリング性能を発揮し、ドリフトや改造ベース車両としても人気を博しました。
現在ではクラシックカーとしての価値が高まり、特にターボモデルや純正状態が保たれた車両は高額で取引されています。カスタマイズやエンジンチューニングが盛んに行われる一方で、オリジナルの魅力を楽しむ愛好家も少なくありません。70スープラは、その時代を象徴するスポーツカーであり、現在でも多くのファンを魅了し続けています。
トヨタ:MR-2(SW20/21型)
トヨタ MR2(SW20/SW21型)は、1989年に登場した2代目MR2で、初代の軽快なミッドシップスポーツカーとしての特性をさらに発展させたモデルです。この世代では、よりパワフルなエンジンと高性能なシャシーを採用し、本格的なミッドシップスポーツカーとして国内外で高い評価を受けました。
デザインは初代の直線的なスタイルから一新され、流れるような曲線を多用した滑らかなフォルムが特徴です。リトラクタブルヘッドライトを採用したフロントマスクは、スポーティかつ洗練された印象を与え、フェラーリやポルシェを彷彿とさせるエレガントなデザインが多くのファンを魅了しました。車両の全長と全幅が拡大され、初代よりもワイド&ローなスタイルを実現し、存在感を高めています。
エンジンは、日本市場では3種類がラインナップされ、用途や走行スタイルに応じて選択が可能でした。自然吸気エンジンの「3S-GE」は、高回転域での伸びが魅力の2.0L DOHCエンジンで、初期型で最大165馬力、後期型では180馬力を発揮しました。ターボチャージャーを搭載した「3S-GTE」エンジンは、最大出力220馬力(後期型で245馬力)を誇り、圧倒的な加速性能を提供しました。北米市場向けには2.2Lの「5S-FE」エンジンも搭載され、信頼性と扱いやすさを兼ね備えた選択肢となりました。
シャシーはミッドシップエンジンレイアウトを活かし、前後重量配分を最適化。これにより、コーナリング性能とハンドリング性能が飛躍的に向上しました。ただし、ミッドシップ特有のリア荷重が大きい特性から、限界域での挙動は難しく、熟練したドライバー向けのスポーツカーと評されることもありました。ターボモデルには電子制御のトラクションコントロールやABSが搭載され、走行安定性と安全性を高めています。
内装は、ドライバー中心に設計されたコクピットデザインが特徴で、操作性と快適性を兼ね備えています。ツインサンルーフやTバールーフ仕様が設定されており、オープンエアドライブを楽しむことも可能です。また、スポーツカーでありながら日常使いにも適した設計が施され、実用性の面でも優れていました。
モータースポーツシーンでもSW20/SW21型MR2は活躍し、耐久レースや国内外のイベントでその性能を証明しました。特にターボモデルはパワフルな走行性能と信頼性から、サーキットやストリートで多くの支持を集めました。
現在、SW20/SW21型MR2はクラシックカーとして再評価され、特にターボモデルや良好な状態の車両は高値で取引されています。その美しいデザインとミッドシップならではの独特なドライビングフィールは、現代の車にはない魅力を持ち、多くのファンに愛され続けています。
日産:180SX
日産 180SXは、1989年から1998年にかけて製造された日本のスポーツカーで、軽量なボディとFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウト、そしてスタイリッシュなデザインが特徴です。主に若者を中心に人気を集め、現在ではドリフト文化やカスタムシーンの象徴的なモデルとして愛されています。
180SXの大きな特徴は、流線型のボディラインとリトラクタブルヘッドライトです。このデザインは、スポーティで未来的な印象を与え、当時のライバル車種の中でも際立つ存在感を放ちました。また、3ドアのハッチバックスタイルにより、スポーツカーとしてのスタイリングと日常的な実用性を兼ね備えています。
搭載されたエンジンは、いずれも直列4気筒DOHCエンジンで、特に注目されたのが「CA18DET」と「SR20DET」です。初期型には1.8LターボエンジンのCA18DETが採用され、最大175馬力を発揮しました。1991年のマイナーチェンジ以降は、より高性能な2.0LターボエンジンSR20DETに変更され、最大205馬力を実現。これにより、さらに力強い加速性能とスポーティな走行フィールが得られるようになりました。
180SXは、優れた運動性能も特徴です。フロントにストラット式、リアにマルチリンク式サスペンションを採用し、FR車ならではの軽快なハンドリングを提供しました。特に、FRレイアウトの特性を活かしたコーナリング性能はドリフト走行に適しており、後に180SXがドリフト文化のアイコンとなる大きな要因となりました。
バリエーションとして、標準モデルのほか、スポーツ性を高めた「Type X」やコストパフォーマンスに優れた「Type S」が用意されました。特にType Xは、エアロパーツや大径リアスポイラーなどの装備が特徴で、よりアグレッシブな外観を持ちます。
180SXは、その魅力的なデザインと優れた走行性能から、国内外で高い人気を誇りました。また、価格が比較的手ごろだったこともあり、多くの若者にスポーツカーとしての楽しさを提供しました。現在では、ドリフトやカスタムカーのベース車両としても高い評価を受けており、中古市場での価値が高騰しています。
この車の歴史と影響力は、単なる自動車の枠を超えたものであり、スポーツカーやカーカルチャーを語る上で欠かせない存在です。180SXは、時代を超えて愛されるスポーツカーのひとつとして、今なお多くのファンに支持され続けています。
ホンダ:プレリュード(AB/BA1型)
ホンダ プレリュード 2代目(AB/BA1型)は、1982年に登場したモデルで、初代のスタイリッシュなデザインと革新的な装備をさらに進化させたクーペとして人気を集めました。このモデルは、ホンダが持つ技術力とデザインの先進性を融合させ、スポーティなドライビングと実用性を両立した車として、多くのファンに支持されました。
2代目プレリュードの最大の特徴は、スタイリングの進化です。初代から受け継いだ低い全高と流れるようなフォルムを維持しつつ、より洗練された空力的なデザインが採用されました。また、広いフロントガラスと薄いAピラーにより、優れた視界を実現し、ドライバーに快適な運転環境を提供しました。ボディサイズは初代よりもわずかに拡大され、室内空間の広さと居住性も向上しています。
エンジンは、1.8Lと2.0Lの直列4気筒SOHCエンジンがラインナップされました。特に、2.0Lエンジン(B20A型)は、ホンダの技術を結集した高回転型エンジンで、滑らかな加速と力強いパフォーマンスを提供しました。一部モデルには、電子制御燃料噴射(PGM-FI)が採用され、燃費性能と出力性能の両立を実現しています。
走行性能面では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)のレイアウトを維持しながら、サスペンションには前後ともダブルウィッシュボーン式を採用しました。これにより、安定したハンドリング性能と快適な乗り心地を両立しています。また、ホイールベースが延長され、直進安定性が向上したことで、高速走行時の安心感も向上しました。
内装デザインも進化し、ドライバー中心の設計が特徴です。視認性の高いメーター類や、操作しやすいスイッチ類が配置され、運転の楽しさをさらに高めています。また、革新性を象徴する装備として、全車標準で電動サンルーフが採用され、開放感のあるキャビン空間を提供しました。
2代目プレリュードは、そのスタイリッシュなデザインと革新的な技術で、国内外で高い評価を受けました。また、スポーツクーペとしての性能と、日常での実用性を兼ね備えたモデルとして、多くのユーザーに親しまれました。特に、当時の若者にとって手の届くスポーティな車として、憧れの存在となりました。
現在ではクラシックカーとして再評価されており、2代目プレリュードのシンプルでエレガントなデザインと、ホンダらしい高回転エンジンの走行フィールは、時代を超えても色あせない魅力を持っています。そのバランスの取れた性能とデザインは、ホンダのスポーツクーペの歴史において重要な位置を占めています。
ホンダ:プレリュード(BA4/5/7型)
ホンダ プレリュード 3代目(BA4/5/7型)は、1987年に登場したモデルで、プレリュードシリーズの中でも特に革新的なデザインと技術を取り入れた車種として知られています。この世代では、先代から大きく進化したエクステリアと、世界初となる4WS(4輪操舵システム)の搭載により、スポーティな走行性能と先進性を兼ね備えたクーペとして人気を集めました。
3代目プレリュードの外観デザインは、非常に低く構えたボディラインと滑らかなフォルムが特徴で、空力性能を追求した結果、Cd値(空気抵抗係数)は0.34という優れた数値を達成しました。リトラクタブルヘッドライトが採用され、時代を感じさせるスポーティな印象を与える一方、フロントガラスが大きく傾斜したデザインにより、近未来的なスタイルも取り入れられています。このデザインは、他の車種と一線を画す独特の存在感を放ち、多くのファンを魅了しました。
搭載されるエンジンは、1.8Lと2.0Lの2種類が用意されており、いずれもホンダの技術を結集した高回転型エンジンが特徴です。特に注目されたのが、2.0LのDOHCエンジン「B20A型」で、最大150馬力を発揮。このエンジンは、当時のクラスを超えたパワフルさを持ち、高速走行やワインディングロードでのスポーティなドライビングを楽しむことができました。一部モデルには電子制御燃料噴射(PGM-FI)が搭載され、出力性能と燃費効率の両立を実現しました。
3代目プレリュードで特筆すべき装備が、世界初の量産車用4WS(4輪操舵システム)です。このシステムは、低速時に後輪を前輪と逆方向に操舵し、小回り性能を向上させる一方、高速時には同方向に操舵することでコーナリング時の安定性を高める画期的な技術でした。4WSモデルは、プレリュードの性能をさらに引き上げるものであり、ホンダの技術革新の象徴となりました。
内装は、ドライバーを中心に設計されたコクピット風のデザインが特徴で、視認性の高いデジタルメーターや、操作性に優れたスイッチ類が配置されています。また、広いキャビン空間と快適なシートにより、ロングドライブでも疲れにくい設計が施されていました。さらに、上級グレードでは本革シートやサンルーフなどの豪華装備も選択可能で、スポーツカーでありながら快適性にも配慮されたモデルでした。
3代目プレリュードは、その優れたデザインと技術により、国内外で高い評価を受けました。特に4WSを搭載したモデルは、運転の楽しさと革新性が融合した車として、多くのユーザーに衝撃を与えました。その結果、プレリュードはホンダのスポーツクーペとしての地位をさらに確立することとなりました。
現在では、3代目プレリュードはクラシックカーとして再評価され、特に4WSモデルや高出力エンジンを搭載したグレードは愛好家の間で人気があります。その革新性と時代を先取りしたデザインは、現代でも色あせることなく、多くのファンを魅了し続けています。
ホンダ:NSX(NA1/2型)
ホンダ NSX(初代)は、1990年に登場したミッドシップエンジンのスーパーカーで、ホンダが世界市場に向けて送り出した革新的なモデルです。NSX(New Sportscar eXperimental)は、ホンダの技術力の粋を集めた車であり、スポーツカーの常識を覆す快適性、実用性、信頼性を兼ね備えた一台として、国内外で高い評価を受けました。
NSXの開発には、F1でのホンダの成功が大きく影響しています。当時、ホンダはF1でマクラーレンとともに圧倒的な強さを誇り、その技術や経験を市販車に投入することで、NSXが誕生しました。特に、アイルトン・セナが開発段階でテストドライブに参加し、シャシー剛性やハンドリングの調整に大きな影響を与えたことは有名です。
NSXの最大の特徴の一つが、アルミモノコックボディの採用です。これにより、従来のスーパーカーよりも大幅に軽量化を実現しつつ、高い剛性を確保しました。このアルミボディは、市販車として世界初の試みであり、NSXを軽快で応答性の高い車に仕上げる要因となりました。
搭載されるエンジンは、3.0L V型6気筒DOHC「C30A型」で、ホンダのVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)を採用。最高出力は280馬力を発揮し、9,000rpm近い高回転域までスムーズに吹け上がる特性が魅力です。このエンジンは、F1由来の技術が反映されており、高い出力と信頼性を両立しています。後期型では、3.2Lエンジン(C32B型)に変更され、さらに性能が向上しました。
NSXのもう一つの魅力は、その優れた操縦性です。ミッドシップレイアウトによる理想的な前後重量配分と、ダブルウィッシュボーンサスペンションの採用により、卓越したコーナリング性能を発揮します。また、パワーステアリングの補助を最小限に抑えたステアリングフィールは、ドライバーと車が一体化する感覚を提供しました。
内装は、スーパーカーとしては珍しく、快適性と実用性が重視されています。広い視界を確保するために、低いボンネットとAピラーの配置が工夫され、運転席からの見晴らしは非常に優れています。また、エアコンやオーディオなどの快適装備も充実しており、日常的な使用にも対応可能なスーパーカーとして注目されました。
初代NSXは、その革新性と完成度の高さから、「フェラーリキラー」と称され、ライバルたちに大きな衝撃を与えました。それまでのスーパーカーが「扱いにくい」「壊れやすい」といったイメージを持っていたのに対し、NSXは「信頼性」と「快適性」を兼ね備えた画期的なモデルだったからです。
現在、初代NSXはクラシックカーとしての価値が高まりつつあり、特に状態の良い個体はプレミア価格で取引されています。その革新性とホンダのスピリットを体現した車として、NSXは今なお多くのファンを魅了し続けています。
マツダ:ロードスター(NA)
マツダ 初代ロードスター(NA型)は、1989年に登場したライトウェイトスポーツカーで、シンプルな構造と軽快な走行性能を追求した車として、世界中の自動車ファンに愛されました。この車は、当時衰退していたライトウェイトオープンスポーツカーの市場を復活させた存在であり、以降のロードスターシリーズの礎を築いたモデルです。
初代ロードスターのデザインは、古典的なスポーツカーの美学を現代に蘇らせたもので、丸みを帯びたコンパクトなボディにリトラクタブルヘッドライトが特徴的です。このデザインは、1950~60年代の英国製スポーツカー(ロータス・エランなど)へのオマージュとしても知られ、レトロでありながら新鮮さを感じさせるスタイルとなっています。全長はわずか約4m、重量は1トン未満に抑えられ、コンパクトかつ軽量な車体がロードスターの「楽しい運転」の原点です。
搭載されるエンジンは、1.6L DOHC直列4気筒エンジン(B6-ZE型)で、最大出力120馬力を発揮します。軽量なボディとの組み合わせにより、加速性能やレスポンスの良さが際立ちます。1993年には、1.8Lエンジン(BP-ZE型)を搭載したモデルも追加され、最大出力は130馬力に向上。これにより、より力強い走行性能を楽しむことが可能になりました。
駆動方式はFR(フロントエンジン・リアドライブ)で、重量配分はほぼ50:50に設計され、コーナリング性能とハンドリングの楽しさを実現しています。サスペンションには前後ともダブルウィッシュボーンを採用し、路面からのインフォメーションをダイレクトに感じられる設定が施されています。この車のステアリングフィールやシャシーバランスは、ドライバーとの一体感を生み出し、運転そのものの楽しさを追求しています。
オープンカーとしての快適性も、ロードスターの大きな魅力です。手動で簡単に開閉できるソフトトップを採用し、オープンドライブの楽しさを気軽に味わえます。また、風の巻き込みを抑える設計により、快適なドライブが可能です。
内装は、シンプルながら質感の高いデザインで、ドライバー中心のレイアウトが特徴です。スポーティで握りやすいステアリングホイールや、短いシフトレバーによる軽快な操作感が、ロードスターならではの魅力を引き立てています。
初代ロードスターは、発表当時から多くの賞を受賞し、世界中で高い評価を得ました。特に、手頃な価格で純粋なスポーツカーの楽しさを提供するというコンセプトは、ライトウェイトスポーツカーの復興を促し、多くの自動車メーカーがこのカテゴリーに再参入するきっかけとなりました。
現在、初代ロードスターはクラシックカーとしての価値が高まり、特にオリジナルの状態を保つ車両や限定モデル(特別仕様車)はコレクターズアイテムとして人気があります。そのシンプルさ、軽快さ、そして「運転する喜び」を追求した初代ロードスターは、時代を超えて愛される名車として輝き続けています。
マツダ:サバンナRX-7(SA22C(FB3S)型)
マツダ 初代RX-7(SA22C型/FB型)は、1978年に登場したロータリーエンジン搭載のスポーツカーで、シンプルなデザイン、軽量なボディ、高回転型ロータリーエンジンによる独特の走行フィールで高い評価を受けました。RX-7は、スポーツカー市場におけるマツダの存在感を確立し、ロータリーエンジンの魅力を世界に広めた象徴的なモデルです。
RX-7のデザインは、低く構えたフロントノーズと、コンパクトなボディが特徴で、空力を意識した滑らかなフォルムが採用されました。特にリトラクタブルヘッドライトを備えたフロントデザインは、スポーティさとモダンさを兼ね備えており、1970年代後半の車としては斬新な印象を与えました。この車の全高は非常に低く、軽量設計によりスポーツカーらしいプロポーションを実現しています。
搭載されるエンジンは、マツダが独自開発した13B型および12A型ロータリーエンジンです。特に12A型ロータリーエンジンは、1.1L(排気量換算)ながらも自然吸気で最大135馬力を発揮し、ターボチャージャーを搭載しないシンプルな構造ながら高出力を実現しました。このエンジンは、軽量でコンパクトな設計が特徴で、前後重量配分を最適化し、スポーツカーとしての操縦性を高めています。
駆動方式はFR(フロントエンジン・リアドライブ)で、車両重量が1トンを切る軽量なボディとの組み合わせにより、シャープなハンドリングと俊敏な加速性能を提供します。サスペンションは、フロントにストラット式、リアにリジッドアクスル式を採用し、シンプルながらも高い安定性を確保しました。また、ステアリングフィールも正確で、ドライバーと車が一体となる感覚を楽しむことができます。
RX-7はその走行性能だけでなく、日常使いにも適した設計が特徴です。コンパクトなサイズとハッチバックスタイルにより、スポーツカーでありながら実用性も兼ね備えています。広い荷室スペースは、アウトドアや旅行など多様な用途に対応可能で、スポーツカーとしては珍しい実用性の高さが評価されました。
登場当時、RX-7は日本国内だけでなく海外市場でも大きな成功を収め、特に北米市場では「手頃な価格で本格的なスポーツカーを提供するモデル」として高い人気を博しました。その価格と性能のバランス、そしてロータリーエンジンのユニークさが、多くのユーザーを魅了しました。
現在、初代RX-7はクラシックカーとしての価値が高まりつつあり、特に状態の良い個体や特別仕様車はコレクターズアイテムとして高額で取引されています。その軽快な走行性能とロータリーエンジン特有のフィールは、現代の車では味わえない独特の魅力として、今なお多くのファンに愛されています。
初代RX-7は、「運転する喜び」と「スポーツカーの楽しさ」を象徴する名車であり、マツダのロータリーエンジン技術の成功を証明するモデルとして、歴史に名を刻んでいます。
マツダ:サバンナRX-7(FC3S・FC3C型)
マツダ RX-7(2代目、FC3S型/FC型)は、1985年に初代RX-7(SA22C型/FB型)の後継モデルとして登場しました。このモデルは、初代の軽量でシンプルなライトウェイトスポーツカーの特性を引き継ぎながらも、より洗練されたデザインと快適性、さらなる性能向上を実現しました。特に、ターボチャージャーの導入や先進的な技術の採用により、スポーツカーとしての地位を確立しました。
2代目RX-7のデザインは、初代の丸みを帯びたスタイルから直線的でエッジの効いたモダンなフォルムへと進化しました。リトラクタブルヘッドライトを継続採用しつつ、低く構えたフロントノーズとワイドなボディラインが特徴で、空力性能の向上にも配慮されていました。Cd値(空気抵抗係数)は0.31と優れた数値を達成し、高速域での安定性を実現しました。
搭載されるエンジンは、マツダのロータリーエンジン技術をさらに進化させた「13B型ロータリーエンジン」です。このエンジンは、初期型では自然吸気とターボチャージャー付きの2種類が用意されました。特にターボモデル(13B-T)は、最大出力185馬力(後期型では205馬力)を発揮し、滑らかな加速と高回転域での伸びが特徴です。また、インタークーラー付きターボチャージャーを採用することで、効率的な過給と信頼性の向上が図られました。
駆動方式は初代と同様にFR(フロントエンジン・リアドライブ)を採用。重量配分は50:50に近い設計で、シャープなハンドリング性能を実現しました。サスペンションには、前後とも独立懸架式を採用し、リアには5リンク式を導入。これにより、高速域での安定性とコーナリング性能が大幅に向上しています。また、後期型では電子制御サスペンション(TEMS)を一部グレードに搭載し、状況に応じた乗り心地の調整が可能でした。
内装は、初代よりも快適性を向上させ、日常使いでもストレスを感じない設計となっています。広いキャビンスペースとドライバー中心のコクピットデザインが特徴で、操作性と視認性が高い配置が施されています。また、ターボモデルでは、ターボブースト計やスポーティなシートが標準装備され、走行性能と高いデザイン性が融合した内装となっています。
2代目RX-7は、走行性能だけでなく、快適性や実用性を兼ね備えた点でも評価されました。ハッチバックスタイルのボディは、大きな荷室を備え、旅行や日常的な使用にも対応可能。これにより、スポーツカーとしてだけでなく、万能なクーペとしても多くの支持を集めました。
モータースポーツにおいても、2代目RX-7は活躍しました。特に耐久レースやツーリングカーレースでは、その軽量ボディとロータリーエンジンの高回転性能が武器となり、多くの勝利を収めました。
現在、2代目RX-7(FC型)はクラシックカーとして再評価されており、特にターボモデルや限定車はコレクターズアイテムとして人気があります。そのモダンなデザイン、先進的な技術、そして独特なロータリーエンジンの特性は、現代でも色あせることなく、多くのファンを魅了し続けています。
マツダ:RX-7(FD3S型)
マツダ RX-7(3代目、FD3S型)は、1991年に登場したモデルで、RX-7シリーズの最終進化形として、ロータリーエンジンと軽量ボディを極限まで追求したスポーツカーです。その美しいデザインと卓越した走行性能は、国内外で高い評価を受け、現在でも「伝説的な日本のスポーツカー」として語り継がれています。
3代目RX-7のデザインは、流れるような曲線を多用した流麗なフォルムが特徴で、空力を意識した滑らかなボディラインが印象的です。リトラクタブルヘッドライトが採用され、低く構えたフロントノーズがスポーツカーとしての存在感を際立たせています。Cd値(空気抵抗係数)は0.31という優れた数値を達成し、空力性能の向上が図られました。このデザインは、スポーツカーとしての美しさと機能性を兼ね備え、現在でも多くのファンを魅了しています。
搭載されるエンジンは、13B-REW型ロータリーエンジンで、世界初のツインターボシステムを採用。2つのターボチャージャーがシーケンシャルに作動することで、低回転域から高回転域までスムーズな加速を実現しました。最大出力は255馬力(後期型では280馬力)を発揮し、0-100km/h加速は5秒台という驚異的な性能を誇ります。このエンジンは、ロータリーエンジン特有の高回転域での滑らかなフィールが魅力であり、走行中のエンジンサウンドも独特でスポーティな感覚を楽しむことができます。
RX-7 FD3Sの特徴的な要素として、軽量化への徹底的なこだわりが挙げられます。アルミ製のフードや軽量なシャシー設計が採用され、車両重量はわずか1,260kg程度に抑えられています。この軽量ボディとFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウト、前後50:50に近い重量配分が組み合わさり、シャープなハンドリング性能を実現しました。
サスペンションには、前後ともにダブルウィッシュボーン式を採用し、優れた路面追従性とコーナリング性能を提供します。また、後期型ではサスペンションのチューニングがさらに最適化され、高速域での安定性やコーナリング時のグリップ力が向上しました。
内装は、ドライバーを中心に設計されたコクピットデザインが特徴で、スポーティな雰囲気と操作性を重視しています。視認性の高いアナログメーターや、握りやすいステアリングホイール、短いストロークのシフトレバーが、運転の楽しさをさらに引き立てます。オプションでレカロ製シートやBOSEサウンドシステムなどの装備も選択可能で、スポーツカーでありながら快適性にも配慮されています。
RX-7 FD3Sは、モータースポーツでも輝かしい実績を残しました。耐久レースやツーリングカーレースで数々の勝利を収め、そのポテンシャルの高さを証明しました。また、映画やゲームにも登場し、世界中のカーファンから熱狂的な支持を受けています。
現在、3代目RX-7はクラシックカーとしての価値が高まりつつあり、特に状態の良い車両や限定モデルは高額で取引されています。その美しいデザイン、卓越した性能、そしてロータリーエンジンの魅力は、時代を超えて愛され続ける理由です。3代目RX-7は、スポーツカーとしての理想を追求した一台であり、今なお多くのドライバーにとって憧れの存在です。
三菱:GTO
三菱 GTOは、1990年から2001年にかけて製造された高性能スポーツカーで、日本国内外で人気を博したモデルです。この車は、三菱自動車が持つ最先端技術を惜しみなく投入し、スポーツカーとしての性能だけでなく、グランドツーリングカーとしての快適性も追求した一台です。海外市場では「Mitsubishi 3000GT」やクライスラーの「Dodge Stealth」として販売されました。
三菱GTOのデザインは、低く構えたボディにワイドなスタンス、そして滑らかな曲線を多用したエアロダイナミックなフォルムが特徴です。リトラクタブルヘッドライト(後期型では固定式に変更)や、アクティブエアロシステム(自動で動くフロントスポイラーとリアウイング)を採用し、見た目のインパクトと機能性を両立させています。このアクティブエアロは当時の市販車としては画期的な技術で、高速走行時の空力性能を向上させる役割を果たしました。
エンジンには、3.0L V型6気筒DOHCエンジン「6G72型」が搭載され、自然吸気(NA)とツインターボの2種類が用意されました。特にツインターボモデルは、280馬力を発揮し、0-100km/h加速を5秒台でこなすなど、驚異的なパフォーマンスを誇りました。また、4WD(四輪駆動)と4WS(四輪操舵)を組み合わせた「フルタイム4WDシステム」は、優れたトラクション性能と安定性を提供し、スポーツカーとしての走行性能を大幅に向上させました。
GTOは、三菱の「ハイテクスポーツカー」のコンセプトを象徴する車として、さまざまな先進技術が盛り込まれました。たとえば、電子制御の可変サスペンション(ECS)、トラクションコントロールシステム(TCS)、そしてインテリジェントな駆動配分を実現するビスカスカップリング式センターデフなどが採用されています。これらの技術は、ドライバーに高い安定性とコントロール性を提供しました。
内装は、高級感と機能性を兼ね備えたデザインが特徴です。スポーティなレイアウトのコクピットには、視認性の高いメーター類や操作性に優れたスイッチ類が配置されています。また、快適装備として本革シートやオートエアコン、さらにはオプションで設定された高品質な音響システムも搭載可能で、ロングドライブでも快適に過ごせる仕様となっています。
三菱GTOは、その豪華な装備とハイテク技術により、「日本のハイテクスポーツカー」の代表格として注目されましたが、車体重量の増加や製造コストの高さが課題となり、競合車種との価格競争で苦戦する場面もありました。それでも、その先進性と個性的なデザインは、今なお多くのファンに愛されています。
現在、三菱GTOはクラシックカーとして再評価されており、特に状態の良いツインターボモデルや限定仕様車はコレクターズアイテムとして高い価値を持っています。その斬新なデザイン、優れた走行性能、そして三菱が誇る技術の結晶として、GTOは日本のスポーツカー史に残る名車として語り継がれています。
さいごに
リトラクタブルヘッドライトは、機能性だけでなく、デザイン面でも大きなインパクトを与えた技術でした。
それを採用した車たちは、単なる移動手段を超えた「特別な存在」として、今もなお多くのファンの心を掴んでいます。
今回ご紹介した16台の名車は、日本が生み出したデザインと技術の結晶であり、その魅力は色褪せることがありません。
ぜひこの記事をきっかけに、あの頃の情熱を思い出し、リトラクタブルヘッドライト車の魅力に再び触れてみてください!