はじめに
2026年のF1は、マシンの考え方そのものが大きく変わる“新時代”の幕開けです。パワーユニットは電動比率が大幅に高まり、空力にはアクティブエアロが導入され、車体はより軽く、よりコンパクトな方向へと進化しました。各チームは同じルールの中でまったく異なる解釈を行い、設計思想や技術戦略の違いがこれまで以上にマシンの個性として表れています。
この記事では、2026年シーズンを戦うF1マシンをチーム別に整理し、エンジン、シャシー、注目ポイントなどをスペック中心にわかりやすく一覧でまとめました。新規参戦チームを含め、勢力図がどう変わるのかを読み解く手がかりとして、ぜひチェックしてみてください。
フェラーリ:SF-26

フェラーリ SF-26 は、スクーデリア・フェラーリ HP が 2026年のF1世界選手権 を戦うために開発した最新のフォーミュラ1マシンです。この年はF1で技術・スポーツ規則が大きく変わる「新時代」のシーズンで、シャシー・パワーユニット・空力哲学・燃料・タイヤまで全面刷新されたルールに合わせて設計されています。SF-26 はこの新時代に対応するための完全新設計車(内部コード名 “Project 678”)として登場しました。
SF-26 は 2026年1月23日 にイタリア・マラネロの本拠地で公式発表され、その当日に同じ地のフィオラノ・サーキットで初走行(シェイクダウン)も行われています。発表イベントにはチーム代表とドライバーの シャルル・ルクレール と ルイス・ハミルトン も出席し、新車への期待と挑戦の意味が強調されました。
新レギュレーションは 空力設計・パワーユニット設計・車体構造 を根本から変えています。SF-26 は従来の「グラウンドエフェクト空力」を中心とした設計から離れ、より効率的で軽量な空力・シャシー構造へと再構築されました。これは走行性能だけでなく、燃料効率・電力制御・セットアップ自由度を高めることを狙っています。
2026年から導入されたハイブリッドシステムでも新しい考え方が採用されており、内燃機関と電動モーターの出力バランスが大きく変わりました。F1 全体がエネルギーマネジメント重視へシフトしている中で、このパワーユニット統合は ドライバーとマシン双方に高度な制御能力を求める方向にあります。
SF-26 の外観では、鮮やかなグロッシー(光沢のある)ロッソ・スクーデリア(赤) を基調としつつ、白のアクセントを効果的に配した新しいリバリーが特徴です。これには過去の名車や歴史へのオマージュが込められているとも言われ、2025年モンツァGPで披露された「特別仕様カラー」からの流れがうかがえます。
発表直後にはSF-26 が フィオラノでの初走行 を行い、新しいアクティブエアロ(能動空力)システム がテストされている様子も確認されています。これは 2026年の新ルールで導入された革新的な空力技術で、状況に応じて空力ダウンフォースを最適化できるシステムであり、従来の固定ウイング中心設計から大きく進化したポイントです。
SF-26 はフェラーリ側の大きな戦略転換を象徴するマシンでもあります。2025年シーズンは勝利に届かず、コンストラクターズランキングも低迷したため、チームは新車両投入に際して設計・開発体制を大きく見直す形でリソースを集中させました。このため、シャシーとパワーユニット開発の両方に全力を注ぎ、「真のリスタート」を狙っています。
ドライバーはこれまで通り シャルル・ルクレール と ルイス・ハミルトン が担当します。両者とも新規則への対応と SF-26 のパフォーマンス最適化に深く関わっており、エネルギーマネジメントやドライビングスタイルの適応が重要課題として挙げられています。ハミルトン自身は「キャリアで最大の規則変更」と語るなど、SF-26 での戦いがいかにチャレンジングであるかを強調しています。
SF-26 は、F1 の新しい時代におけるフェラーリの「本気の挑戦車」と位置づけられています。空力・パワーユニット・車体設計の全領域を再定義したことで、これまでにない競争条件の中でタイトル争いに戻るための重要なレースカーになると期待されています。
メルセデス:W17

メルセデス W17(正式名称 Mercedes-AMG F1 W17 E Performance)は、メルセデスAMG・ペトロナスF1チームが 2026年のF1世界選手権 に挑むために開発した新型マシンです。完全に刷新された技術規則に対応するため、これまでとは設計思想から大きく変わった次世代フォーミュラ1カーとして登場しています。
W17は前作W16から大幅な進化を遂げており、2026年のF1レギュレーションに合わせて車体全体が小型化・軽量化され、前後幅やホイールベースも短縮されました。これにより空力効率と機敏なハンドリングの両立を目指しています。従来のDRS(ドラッグリダクションシステム)は廃止され、可動式のアクティブエアロ(前後ウイングの動的制御)が新たに採用されており、直線での空気抵抗低減とコーナーでのダウンフォース増加を状況に応じて切り替える仕組みになっています。
パワーユニット(エンジン)は、メルセデスが新規則に合わせて開発した 1.6リッターV6ターボハイブリッド を搭載。ハイブリッドシステムでは従来よりも電気出力の比率が大幅に高まり、エネルギー回収・供給の効率が大幅に向上しています。2026年仕様では内燃機関と電動モーターの出力がほぼ50:50になるよう設計され、これにより全体の加速性能やエネルギー効率のバランスが最適化されています。燃料は長年のパートナーであるPETRONAS製の持続可能燃料を使用し、環境性能も強化されています。
ボディや空力パッケージもこれまでとは異なるアプローチが取られており、特にサイドポンツーン(左右の吸気部分)の形状やインダクションポッド周りの設計が独自性を持っています。これは気流制御を最適化し、リア周りのダウンフォースと冷却効率の両方を増すことを狙ったものと見られています。
外観では、従来の“シルバーアロー”伝統のシルバーとブラックを基調としたリバリー(塗装)に加え、PETRONASのグリーンアクセントが流れるようなデザインで配されています。また、新たなスポンサーであるMicrosoftのロゴも車体に追加されるなど、視覚面でも進化が見られます。
実戦投入に向けての準備も順調で、2026年1月22日にはイギリス・シルバーストーンで初走行(シェイクダウン)を実施し、ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリが計67周(約200km)を走行して基本的な信頼性と挙動確認を終えています。これは新車としての初実走であり、シーズン開幕へ向けたセットアップの基礎を築く重要なステップとなりました。
ドライバーはジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリで、両者ともチームの中心としてW17で2026年シーズンに挑みます。チーム代表トト・ウォルフは、この新車が「新時代F1における競争力を取り戻す鍵」であると位置づけ、伝統の王者復活を目標に掲げています。
W17は、F1の歴史上でも最大級の技術変革となった2026年レギュレーションに対応した、メルセデスの次世代戦闘機と言えるマシンです。新パワーユニット・空力設計・軽量化・アクティブエアロといった最新技術を盛り込むことで、タイトル争いへの復帰を狙う極めて重要な一台になっています。
マクラーレン:MCL40

マクラーレン MCL40 は、マクラーレンF1チームが2026年のF1世界選手権に向けて開発した新型フォーミュラ1カーです。2026年シーズンはF1全体で技術規則が大きく変わる年で、MCL40はその新時代を戦うために新設計されたマシンです。
このクルマは、チームの前作「MCL39」の後継として位置づけられ、オスカー・ピアストリとランド・ノリスのコンビがドライブします。ピアストリとノリスは2025年もタイトル争いをリードし、チームは2026年も高い競争力を維持するためにMCL40を開発しました。
実際の公開は2026年1月26日で、スペイン・バルセロナで行われたプレシーズンテストで姿を見せています。最初はブラックを基調としたテスト用カラーリングでしたが、後にレース用の正式カラーが発表される予定です。
技術面では、MCL40は新レギュレーションに合わせて大幅な変更が加えられています。特に空力設計が大きく見直され、フロアやサイドポッド周りの気流制御に力を入れた構造になっているほか、フロントとリアとも従来型とは異なるプッシュロッド式サスペンションが採用されています。
パワーユニットには引き続きメルセデス製1.6リッターV6ターボハイブリッドを搭載。2026年の規則では内燃機関と電動エネルギーの使い分けが大きく変わり、電気エネルギーの回生と活用がより重要になっています。これに対応するため、MCL40ではハイブリッドシステムの最適化にも重点が置かれています。
プレシーズンテストでは、ランド・ノリスがカーナンバー「1」をつけてMCL40を走らせたことでも話題になりました。これは2025年のドライバーズチャンピオンとして得られたもので、チームの自信と期待感の高さを示しています。
まとめると、MCL40は「2026年の新技術規則に対応した完全新型F1マシン」で、マクラーレンが連覇を目指すために空力・サスペンション・ハイブリッドシステムまで徹底的に設計し直した一台です。これからのシーズンでどれだけ強さを発揮するか、大きな注目を集めています。
レッドブル・フォード:RB22

レッドブル RB22 は、オラクル・レッドブル・レーシングが2026年F1世界選手権に向けて開発した新型フォーミュラ1カーです。2026年はF1の技術規則が大幅に変わる「新時代」のシーズンで、RB22はその変化に対応するために従来の常識を抜本的に見直したマシンになっています。
まず大きなポイントとして、RB22は初めて「フォード」と共同で開発したパワーユニット(エンジン)を搭載するマシンです。これまで長年続いたホンダ系パワーユニットから離れ、米国のフォードと共同開発した新世代V6ターボハイブリッドエンジンを搭載します。これによりこれまでとは違う特性のパワーデリバリーと電動システムが導入されることになります。
RB22の外観と配色は、2026年1月に米国デトロイトで開催されたシーズンローンチイベントで発表されました。伝統的なレッドブルカラーのネイビー(濃紺)を基調に、黒との組み合わせで光沢のあるリバリー(塗装)が採用されています。こうしたデザインは過去の「マットカラー」路線から大きく変わるものとして注目されました。
シャシー(車体)やサスペンションなど、新世代F1規則への対応も大きな特徴です。RB22は空力とサスペンションの最適化を図るため、フロント・リアともにプッシュロッド式サスペンションを採用する方向で開発が進んでいるという情報が複数のメディアから報じられています。これは従来のレッドブルF1カーが採用してきたレイアウトからの大きな変更となり、新パワーユニットと新車体パッケージへの対応を目的としたものです。
他にも、RB22は新しい電動エネルギー比率や軽量化、燃料規格の変更といった2026年規則に合わせた最新技術の導入が進められています。例えば、従来よりも電気モーターの比率が増え、燃料には100%持続可能燃料が使用される見込みです。こうした変更はF1全体のパフォーマンスやレース戦略にも大きな影響を与えることになります。
ドライバー体制では、マックス・フェルスタッペンが引き続き主力としてRB22をドライブします。2026年はフェルスタッペンのチームメイトとしてアイザック・ハジャーが加入し、新しいコンビでシーズンに挑む予定です。
まとめると、RB22は「新レギュレーション時代のレッドブルの答え」ともいえる一台です。新しいパワーユニットの導入、空力・サスペンション設計の刷新、そして特徴あるリバリーによって、これまでとは違う新しい方向性で競争力を追求するマシンとして期待されています。
アストンマーティン・ホンダF1:AMR26

アストンマーティン AMR26 は、アストンマーティン・アラムコF1チームが 2026年のF1世界選手権 に投入する最新のフォーミュラ1マシンで、チームが新しい技術規則に合わせてフルに設計・製造した新型車です。これまでとは大きく異なる規則に対応する必要があり、チームの永久的な成長と競争力向上を狙った一台として開発されました。
AMR26最大の特徴は、エイドリアン・ニューウェイというF1界でも最も著名な空力設計者が初めてアストンマーティン向けに設計したマシンだという点です。ニューウェイはこれまでに他チームで多数のチャンピオンマシンを設計しており、そのノウハウを活かして新レギュレーションに挑んでいます。
パワーユニット(エンジン)は、2026年からアストンマーティンのワークスパートナーとなった ホンダ製のRA626H 1.6リッター V6 ターボハイブリッド を搭載します。この新しいパワートレインは内燃機関と電動モーターの出力がほぼ50:50になるよう設計されており、新時代のF1エンジンとして効率と出力を両立することが求められています。
AMR26の開発は当初ライバルチームに比べて 風洞テスト開始が約4か月遅れた こともあり、開発スケジュールに大きなプレッシャーがかかりました。それでも独自の空力パッケージや幾つかの前例のない設計特徴を盛り込んだことで、他チームとは明確に異なるマシンに仕上がっています。
2026年のプレシーズンテストでは、バルセロナでのシェイクダウンが遅れてしまい、他チームより走行距離が少ない状況でのスタートとなりました。初日は数周のみの走行に終わりましたが、後日フェルナンド・アロンソが61周を走行するなど実戦的なデータ集めが進んでいます。走行中には赤旗が出るなど波乱もありましたが、マシンの基本性能確認は進みつつあります。
AMR26の空力設計には、サイドポッド(左右のエアインテーク)を非常に絞り込んだ形状や、気流を効率的に導くための細かな工夫が多数見られます。これは冷却効率と空力性能の両立を狙ったもので、ホンダの新パワーユニットと組み合わせることで新規則に最適化しようという狙いです。
実際の走行では、サーキット上での安定性やコーナリングの反応にも注目が集まっており、チーム外からも「視覚的にも他車と違う特徴あるデザイン」「スペクタクルで目を引くマシン」と評価する声が出ています。
AMR26に乗るドライバーは、2度のF1ワールドチャンピオンに輝いたフェルナンド・アロンソと、チームオーナーの息子であるランス・ストロールです。両者ともチームの中心として2026年シーズンの戦いに挑む予定です。
要するに、アストンマーティン AMR26 は「新レギュレーションへの挑戦とホンダとの新たなパートナーシップを象徴する一台」。開発は遅れや試行錯誤を伴いながらも、独創的な空力設計と新パワートレインの組み合わせで2026年F1シーズンに臨んでいます。
ビザ・キャッシュアップRB:VCARB03

レーシングブルズ VCARB03 は、イタリア拠点の F1 チーム Visa Cash App Racing Bulls Formula One Team(通称レーシングブルズ) が 2026年の F1 世界選手権 に投入する新型フォーミュラ1カーです。これはチームが 2025 年に使った VCARB02 の後継モデルであり、2026 年の大規模な規則変更に対応して 新たに設計・製造された第 3 世代マシン となっています。
VCARB03 は正式発表が 2026 年 1 月中旬に行われ、ドライバーには リアム・ローソン と アービッド・リンドブラッド(F1 初シーズンのルーキー) が起用されました。チームはこれまでの名前「RB(Racing Bulls)」を生かしつつも、レッドブル・フォードとのエンジンパートナーシップ に合わせた新ロゴとカラーリングを採用しています。
シャシー構造は カーボンファイバー製モノコック で、ドライバー保護の Halo 系統も装備。サスペンションは前後とも近年のレギュレーションに対応した設計で、フロントはプルロッド式、リアはプッシュロッド式という複雑な機構を採用しています。車体重量はドライバーを含まない状態で 約 770kg 程度 で、2026 年規則に合わせた軽量化と安全性確保が両立されています。
パワーユニットは Red Bull Ford DM01 1.6L V6 ターボハイブリッド で、レッドブル・パワートレインズとフォードが共同開発した新しいエンジンシステムを搭載します。これにより内燃機関と電動システムのバランスが取れた出力特性となり、2026 年新レギュレーションの ハイブリッド電動比率(50:50) に適合した設計になっています。燃料はエッソ / モービルシナジーが使われ、タイヤはピレリ製 P Zero シリーズです。
VCARB03 は 2026 年 1 月 20 日ごろにイタリアの イモラサーキットでシェイクダウン(初走行テスト) を実施しましたが、悪天候やトラックコンディションが影響し 周回数は少なめ となりました。テスト中にはマシンの挙動確認の途中でコースオフする場面もあり、開発段階ならではの試行錯誤が見られました。
外観的に特徴的なのは、ロールフープ(ヘルメット上部の保護部)周辺のインダクションポッド(吸気構造)の形状 で、これまでとは異なる大きく個性的なデザインになっている点です。これは新しい冷却要件やパワーユニット特性に合わせた設計変更と考えられており、他チームの新型車とは明確に異なる造形となっています。
リバリー(二次カラーリング)は ホワイトを基調にブルーのアクセントが入ったデザイン で、これは Ford とのパートナーシップを象徴する意図があるとされています。2026 年に向けたチームの新しいアイデンティティを強調した見た目になっており、ローンチイベントの場でも選手や関係者から期待の声が聞かれました。
VCARB03 は 2026 年シーズンの開幕戦であるオーストラリア GP でのデビューを目指しており、プレシーズンテストや公式イベントを経て戦闘力を確認する予定です。レーシングブルズとしては、新しいエンジンパートナーや新設計シャシーとともに、これまで以上のパフォーマンス向上を狙う挑戦的な一台として位置づけられています。
ウィリアムズ:FW48

ウィリアムズ FW48 は、アトラシアン・ウィリアムズF1チームが2026年のF1世界選手権に向けて開発した新しいF1マシンです。2026年はF1全体の技術規則が大きく変わる年で、FW48はその変化に対応するために設計・製作された新世代モデルとして位置づけられています。
FW48の開発は、ウィリアムズが2025年シーズン後に早期から取り組んだものの、製造や生産スケジュールがタイトだったために遅れが生じました。規則変更に伴う要求が非常に複雑だったことや、クラッシュテストなどの基準クリアが必要だったことが影響し、チームは当初予定していた1月末にスペイン・バルセロナで行われたプレシーズン・シャシー検証テスト(シェイクダウン)を欠席しています。これに代えて、工場内での検証や仮想走行テストでデータを集めつつ、開発を進めました。
FW48は実車としての姿が初公開される前に、2026年2月3日、チーム本拠地のグローブ(イギリス)で公式リバリー(カラーリング)が発表されました。ブルー系を基調としたグロスブルー塗装を中心に、白やライトブルーのアクセントが入り、歴史的なモデル(例えばFW14BやFW18)を想起させる赤白のラインを取り入れたデザインになっています。このカラーリングはチームの「新時代への意欲と伝統の融合」を表現しているとされています。
実際の車体自体は、まだバルセロナでは走行していませんが、2026年2月4日にイギリス・シルバーストーンでドライバーのアレクサンダー・アルボンとカルロス・サインツが、特別なテスト用カラーリングをまとったFW48のシェイクダウン走行(初実走)を行い、コース上での動きを確認できました。これが公の場での初めての走行となっています。チームはその後、2月11日からのバーレーンの公式プレシーズンテストで正式に走行データを収集し、本番のシーズン開幕(3月のオーストラリアGP)に向けて最終調整を進める予定です。
FW48に関して技術的な詳細については公式発表がまだ限られていますが、2026年の規則変更では最低重量の引き下げ、新しい空力制限、タイヤ・ホイールの変更、ハイブリッドシステムの比率増加などが導入されたため、マシンの設計哲学やパッケージングはこれまでと大きく変わっていることが前提です。ウィリアムズはこれらの新たな要求に応えるため、シャシー構造・空力設計・電動エネルギー制御といった複雑な開発項目に注力しており、他チームと同様に新たなチャレンジと競争力向上を目指しています。
FW48のドライバーは、2025年シーズンから継続してチームに所属するアレクサンダー・アルボンと、スペイン人ドライバーのカルロス・サインツ Jr.で、彼らがこのマシンで2026年シーズンを戦います。両ドライバーはチームが2025年に改善したパフォーマンス(コンストラクターズ5位、複数表彰台獲得)をさらに進化させることを目指しています。
要するに、ウィリアムズ FW48は「新世代F1レギュレーションへの対応とチームの復活を目指す2026年用マシン」であり、カラーリング発表とシェイクダウンを経て、今後正式テスト・レースに向けて準備が進む段階にあります。
アルピーヌ:A526

アルピーヌ A526 は、BWT アルピーヌF1チームが2026年のF1世界選手権に向けて開発した新型フォーミュラ1カーです。2026年はF1全体で技術規則が大きく変わる節目のシーズンで、A526はその要件に合わせたフルモデルチェンジ車として設計されています。
まず大きなニュースとして、A526はメルセデス製のパワーユニット(エンジン&ギアボックス)を搭載する点が特徴です。これはアルピーヌが長年使ってきたルノー製エンジンからの大きな転換で、1990年代初頭以来となる他社製エンジン搭載となります。
チームは2025年シーズンをコンストラクターズランキング最下位で終えたため、A526には大幅な競争力アップへの期待とプレッシャーがかかっています。新エンジンへの移行は戦略的な決断であり、ここからチームの復活を狙うという大きな意味を持っています。
A526の発表とデビューの流れもユニークです。チームは2026年1月23日、スペイン・バルセロナで豪華客船を会場にして新車のリバリー(カラーリング)を発表しました。これはF1史上でも珍しい場所でのローンチとなり、関係者やファンの注目を集めました。
技術面では、A526は新しいF1規則への対応が随所に見られる設計になっています。2026年の新レギュレーションでは電動システムの役割が増し、空力やエネルギーマネジメントがこれまで以上に重要になります。A526もこれらを念頭に置いて設計されており、車体全体の軽量化・効率化が図られています。
シャシーやエアロパーツの詳細は今後のテストやレースで明らかになりますが、既にシーズン前にはイギリス・シルバーストンでシェイクダウン(初走行テスト)が行われ、データ収集が進んでいます。これはレース用仕様車ではなく基本セットアップ確認が目的ですが、走行自体は成功しています。
A526のカラーリングは、これまでアルピーヌF1を象徴してきた「青」とスポンサーBWTの「ピンク」を継続して採用。チームのアイデンティティを保ちながらも、技術的進化を象徴するデザインになっています。
ドライバーはピエール・ガスリーとフランコ・コラピントが務め、2026年シーズンの挑戦を担います。A526は、新エンジンと新規則を活かして、順位を大きく上げることを目標にした一台として期待されています。
ハース:VF-26

ハース VF-26 は、ハースF1チームが2026年のF1世界選手権に向けて開発した最新のフォーミュラ1マシンです。2026年はF1において大規模な技術規則変更があり、各チームが新時代に対応するために新設計車を投入する中、VF-26もその流れで作られました。
この車は2026年1月19日にカラーリングなどのビジュアルが公開されており、白と黒を基調とした塗装に赤いアクセントが入るデザインです。ロゴには新たにタイトルスポンサーになった TOYOTA GAZOO Racing(TGR) の「GR」ロゴが入り、これまでのスポンサー体制から大きな変化が見られます。
マシンの基本設計は カーボンファイバーを主体としたモノコック構造 で、軽量かつ強靭なシャシーが採用されています。パワーユニット(エンジン)は フェラーリ 1.6L V6 ターボハイブリッドユニット(型番 O67/6) を搭載し、これはハースが長年続けているフェラーリエンジンとのパートナーシップに基づくもので、電動モーターとの統合で新しい2026年規則に対応します。トランスミッションやステアリングまわりもフェラーリ由来のシステムを基礎としているとされます。
この VF-26 には、2025年までの車から続投する エステバン・オコン と オリバー・ベアマン というドライバーコンビが搭乗します。2人ともチームでの経験を積んできたドライバーで、2026年シーズンでもこの新車で戦うことが決まっています。
公開された画像やレンダリングからは、フロントノーズが従来よりも前方に出るような形状や、サイドポッド周りの空力処理が独特なデザインになっていることが読み取れます。これは2026年の新しい空力規則への対応や冷却効率の最適化を狙ったものと見られていますが、実車としての評価はこれからの走行データ次第です。
TGR ハースは 2026年シーズン開幕戦であるオーストラリアGP(メルボルン) でこの VF-26 を使ってデビューする予定です。また、シーズン前にはバルセロナやバーレーンでのプライベートテストが実施され、空力やセットアップの最終調整が行われています。
まとめると、ハース VF-26 は新規則に合わせて設計された 2026年 F1 マシンで、伝統のフェラーリエンジンを継続採用しつつ、新スポンサーの TGR とともに新たな時代を戦うための仕様となっています。公開されたリバリーや初期のテスト走行を見る限り、チームは変化の大きい2026年の挑戦に向けて準備を進めています。
アウディ:R26

アウディ R26 は、ドイツの自動車メーカーであるAudiが 2026年のF1世界選手権 に向けて投入する最初のフォーミュラ1マシンです。これはアウディが長年のモータースポーツ活動を経て、ついにF1のワークスチームとしてレースに参加するために開発した 完全新設計のF1カー であり、ワークス参戦としては戦前以来初めての本格的な挑戦となっています。
R26 の開発は、アウディが 2024 年に伝統あるザウバー F1 チームを買収したことを起点に進められました。これによりアウディは F1 参戦に必要な基盤と経験を得て、パワーユニット(エンジン体制)とシャシー開発の両方を自社主導で進めています。
車体の基本構造は カーボンファイバー製モノコック(衝撃吸収構造) で、2026年の技術規則変更に対応するように設計されています。パワーユニットはアウディの新しい AFR 26 Hybrid TFSI と呼ばれる 1.6リッター V6 ターボハイブリッドで、内燃機関と電動モーターの性能をほぼ 50:50 のバランスで組み合わせた最新仕様です。これにより電動エネルギーの回生と供給を強化し、効率とパフォーマンスの両立を追求しています。燃料は BP の持続可能燃料(Ultimate Sustainable) を使用し、タイヤはピレリ製 P Zero(ドライ)および Cinturato(ウェット)が装着されます。
R26 は 2026年1月9日にスペインのバルセロナ・カタルニャ・サーキット で初めてシェイクダウン(走行テスト)を行い、実際の走行データを収集しました。その後 1月20日にはドイツ・ベルリンで公式ローンチイベント が開かれ、チーム名を Audi Revolut F1 Team として R26 が正式公開されました。公開イベントでは新しいリバリー(カラーリング)が披露され、シルバーを基調にブラックとレッドをアクセントにしたデザインがファンやメディアの注目を集めました。
アウディは伝統的にル・マン 24 時間レースや DTM、ラリーなど多くのカテゴリーで成功を収めてきましたが、F1 への参戦は 2026 年が 初めての本格的なワークス参加 になります。なお、F1 参戦チームはアウディの社内組織とザウバーの長年の経験を融合した体制で、アウディ Formula Racing GmbH(ドイツ)とスイスの開発拠点を中心に活動しています。
ドライバーラインアップは、経験豊富な ニコ・ヒュルケンベルグ と若手期待株 ガブリエル・ボルトレト(Gabriel Bortoleto) というコンビで、2026年オーストラリアGP から R26 でグランプリに挑みます。チームとしては「2026年シーズンで即戦力を発揮することはもちろん、2030年までにチャンピオン争いに加わることを目標」としています。
R26 は新レギュレーションに合わせて新しいパワートレインと空力設計を取り入れたため、他メーカーのエンジン搭載車とは異なる独自の特性を持ちます。重量は F1 の最低規定に合わせて 約770kg 程度で設定され、フロント・リアともダブルウィッシュボーン(プッシュロッド式)サスペンションを採用。これによりコーナリング性能と機敏なハンドリングを追求しています。
総じて、アウディ R26 は「アウディが F1 という世界最高峰レースに本格参戦するための最初のレーシングカー」であり、自社パワーユニットを持つ数少ないワークスチームとして 2026 年シーズンにデビューします。将来のタイトル争いを視野に入れた大型プロジェクトの象徴的な一台としてモータースポーツ界で大きな注目を集めています。
キャデラックF1

キャデラックの2026年F1参戦プロジェクトは、アメリカの自動車メーカー ゼネラルモーターズ(GM)傘下の高級ブランド「キャデラック」 が2026年シーズンからF1世界選手権に新規参戦する公式プロジェクトです。これはF1にとって約10年ぶりの新しい参戦チームで、GM と英国の TWG Motorsports(TWG Global) の協業体制で進められています。
F1当局(FIA)とフォーミュラワン・マネージメントは、2026年からキャデラックF1チームがF1のレースグリッドに参加することを正式に承認しました。この承認により、F1のチーム数はこれまでの10から11チームに拡大し、22台のマシンが各レースに出走する体制になります。
この新チームは「Cadillac Formula 1 Team」という正式名称で、米国ブランドとしてF1に挑戦する初めての本格参戦チームです。参戦に向けては新車の開発が進められており、2026年シーズン開幕戦から実際にレースに参加する計画になっています。
パワーユニット(エンジン)は、準備期間の短さと安定性を考慮して、2026年は現時点でフェラーリ製 PU(エンジン+ギアボックス)を搭載する予定です。ただし、GM は将来的に 2029年頃までに自社製 F1 パワーユニットを開発・製造して投入する計画を掲げています。これによりキャデラックは単なるチームとしてだけでなく、エンジンも自社生産する「フルワークス」 体制を目指しています。
チーム代表には、かつて マルシャF1チームを率いたグレアム・ロードン が就任し、技術部門は長年 F1 のトップチームで経験を積んだスタッフが統括しています。チーム拠点は米国(インディアナ州フィッシャーズ)と英国(シルバーストン)に分かれており、マシン開発やレース運営に当たる体制が整えられています。
ドライバーラインアップは、経験豊富な バルテリ・ボッタス と セルジオ・ペレス という実績のある組み合わせが選ばれており、2026年シーズンの旗艦となるドライバーとして期待されています。合計500戦以上の出走と複数の勝利・表彰台経験を持つこの2人の起用は、チームが単なる参戦ではなく競争力のある体制で挑戦する強い意欲を示すものです。
キャデラックの参戦プロジェクトは単にマシンを走らせるだけでなく、米国のグローバルモータースポーツ戦略とブランド再構築を同時に果たすものとして位置づけられています。新チームは F1 の新制度下での競争力向上を狙い、ブランド力と技術力を世界最高峰レースで示す大規模プロジェクトです。
さいごに
2026年F1マシンをチーム別に見ていくと、「同じレギュレーションでも、ここまで方向性が分かれるのか」と感じるほど、それぞれの個性がはっきりしています。
電動化を軸に完成度を追求するチーム、空力効率や軽量化に賭けるチーム、新パワーユニットとの融合を最優先するチームなど、狙いは実にさまざまです。この違いは単なるスペック差ではなく、レース展開や開発競争、シーズン後半の勢力図にも直結していきます。
2026年は「どのマシンが最初に速いか」だけでなく、「どのチームが最も進化できるか」が勝負を分ける年になります。本記事のスペック一覧を参考にしながら、新時代F1の戦いをより深く楽しんでみてください。






