はじめに
ランボルギーニ・レヴエルト(Revuelto)は、イタリア・サンタアガタ・ボロニェーゼ工場で生産される同社初のプラグインハイブリッド(PHEV)V12スーパースポーツカーです。
2023年3月29日に発表され、アヴェンタドールの後継モデルとして登場しました。
レヴエルトは「High Performance Electrified Vehicle(HPEV)」という新たなカテゴリを打ち立て、1001馬力のトータル出力と先進の電動技術を両立させています。

歴史と概要
- 発表時期:2023年3月29日、ランボルギーニ創立60周年を目前にオンラインで世界初公開。
- 生産開始:2023年後半から量産を開始し、2024年モデルイヤーとしてデリバリーが進行中。
- ネーミング:スペイン闘牛の雄牛「レヴエルト」から命名。1880年代にバルセロナで闘った雄牛に由来。

ランボルギーニ レヴエルト ― エクステリア詳細
デザインコンセプト
レヴエルトの外観は、ランボルギーニのDNAである「戦闘機デザイン」をさらに進化させたものです。ブランド伝統の鋭いラインと低く構えたフォルムを持ちながら、新時代のPHEVスーパーカーらしく未来感を強調。アヴェンタドールの後継モデルとしての存在感を誇示しつつ、空力性能を徹底的に磨き上げています。
フロントビュー
フロントには、ランボルギーニを象徴する Y字型デイタイムランニングライト を採用。シャープに切り込むLEDライトとアグレッシブなバンパーデザインにより、ひと目で「レヴエルト」と分かる強烈な個性を放っています。低いノーズと大開口エアインテークは、冷却効率とダウンフォースを兼ね備えた機能美そのものです。
サイドビュー
サイドからは、キャビンを前方に寄せた「キャブフォワード」デザインが際立ちます。鋭いキャラクターラインが空気を切り裂くように走り、サイドスカートや大きく張り出したリアフェンダーが、強靭なV12ハイブリッドパワーを受け止める迫力を演出。ドアは伝統の シザードア を採用し、スーパーカーらしい劇的な演出も健在です。
リアビュー
リアは、機能美と攻撃的なデザインの融合が見どころ。六角形モチーフのテールライト は立体的に配置され、Y字グラフィックが近未来的な印象を強めます。中央には高く配置された大径デュアルエキゾーストが存在感を放ち、その下には可動式リアディフューザーとアクティブエアロウイングが装備され、走行状況に応じて空力を最適化します。
エアロダイナミクス
レヴエルトのエクステリアは単なる造形美に留まらず、サーキット走行を見据えた空力性能を重視。アクティブリアウイングや可変式ディフューザー、ボディ各部のエアチャンネルにより、冷却とダウンフォースを両立させています。結果として、アヴェンタドール比で25%以上の空力効率を向上させています。
レヴエルトのエクステリアは、「芸術的な美しさ」と「機能的な空力性能」を融合させた究極の進化形です。未来のランボルギーニを象徴するデザインといえるでしょう。

ランボルギーニ レヴエルト ― インテリア詳細
デザインコンセプト
レヴエルトのインテリアは、外観同様に戦闘機をモチーフとしつつ、先進的なデジタル要素を大幅に取り入れています。アヴェンタドールよりも広く快適に進化しており、スーパーカーらしいドライバー中心の設計と、最新インフォテインメントの融合が特徴です。
コクピット構造
ドライバーの前には 12.3インチ デジタルメーターパネル を配置。速度や回転数だけでなく、ハイブリッドシステムの状態、走行モード、エネルギーフローなども直感的に確認できます。
センターには 8.4インチ縦型タッチスクリーン を装備し、ナビゲーションや車両セッティング、空調操作を一元管理。さらに助手席前にも 9.1インチディスプレイ を搭載し、同乗者が走行データやエンタメを楽しめるよう工夫されています。
ステアリング & 操作系
ステアリングホイールには、走行モードを切り替えるための ロータリーダイヤル が複数配置されています。モード数は全部で13種類に及び、ストラーダやコルサなどの定番に加え、EV走行やリチャージ専用モードまで選択可能。ドライバーはステアリングから手を離さずに、瞬時に設定を変えることができます。
素材と仕立て
インテリアには、ランボルギーニならではの高級素材が惜しみなく使用されています。アルカンターラや上質なレザーが張り巡らされ、ステッチには Y字モチーフ を採用。さらにカーボンファイバーや3Dプリントパーツを取り入れることで、軽量化と近未来感を両立しています。シートは深いホールド性を備えながら、長距離ドライブにも配慮した設計です。
実用性と快適性
レヴエルトは従来のV12スーパーカーよりも実用性を向上。センターコンソールやドアポケットに収納スペースを確保し、日常での使いやすさも意識しています。また、スマートフォン連携やOTAアップデートに対応し、最新のコネクティビティ機能を提供。スポーツカーでありながら快適なドライビング環境を実現しています。
レヴエルトのインテリアは、「戦闘機的な刺激」と「最新テクノロジーの快適性」を融合させた空間です。従来のV12モデルよりも親しみやすく、同時にドライバーを非日常へ誘う特別な雰囲気を持っています。

ランボルギーニ レヴエルト ― パワーと性能詳細
新開発V12エンジン
レヴエルトの心臓部は、ランボルギーニ伝統の 6.5リッター自然吸気V12エンジン(型式 L545)。最大出力は 825PS / 9,250rpm、最大トルクは 725Nm / 6,750rpm に達します。これはランボルギーニ史上もっともパワフルなNA V12であり、ハイブリッド化しても「ランボルギーニらしい咆哮」を維持しています。
電動モーターとの融合
エンジンを支えるのは 3基の電気モーター。
- フロントアクスル左右に1基ずつ(各150PS相当)
- リア・トランスミッションに1基(約150PS相当)
これによりシステム合計出力は 1,015PS(約1,001hp) に達し、従来のV12スーパーカーを大きく上回るパフォーマンスを実現しています。
トランスミッション & 駆動方式
新開発の 8速デュアルクラッチ(DCT) を横置きで採用。滑らかな変速と瞬時のギアチェンジを両立し、電動アシストとの相性も抜群です。駆動方式は 4WD で、前後モーターとエンジンを統合制御することで、路面状況に応じたトルク配分を行います。これにより、高速走行からワインディングまで安定したトラクション性能を発揮します。
加速性能 & 最高速度
- 0–100km/h加速:2.5秒
- 0–200km/h加速:7秒未満
- 最高速度:350km/h以上
驚異的な加速とトップスピードを備え、ハイブリッドでありながら従来のアヴェンタドール以上のパフォーマンスを達成しています。
バッテリーとEV走行
搭載するリチウムイオンバッテリーは 3.8kWh。
- EVモード航続距離:約 10km
- 充電時間:約30分(7kW AC充電器使用時)
- エンジン走行中にバッテリーを充電する「Re-chargeモード」も搭載
短距離ではEV走行が可能で、都市部でも環境性能を発揮します。
ドライビングモード
レヴエルトは 最大13種類 の走行モードを搭載。
- Strada(快適重視)
- Sport(スポーツ走行)
- Corsa(サーキット専用)
- EV専用モード
- Recharge(充電重視)
- Performance(ハイブリッド最大出力)
…など、シーンに応じたきめ細かな制御が可能です。
空力と制御システム
最新世代の LDVI 2.0(Lamborghini Dinamica Veicolo Integrata) を搭載。アクティブエアロ、マグネティックダンパー、トルクベクタリングを統合制御し、ドライバーの操作と路面状況に応じて最適な挙動を導きます。
レヴエルトのパワーと性能は、伝統のV12の咆哮と最新PHEV技術の融合によって「過去最強のランボルギーニ」を実現しています。環境対応と究極のスーパーカーパフォーマンスを両立した、まさに新時代の象徴です。
ランボルギーニ レヴエルト ― シャシーと足回り詳細
カーボンモノコック構造
レヴエルトは新開発の カーボンファイバー製モノコック を採用しています。これは「モノフュージョン」と呼ばれる次世代設計で、従来のアヴェンタドール比でねじり剛性を約25%向上。軽量化と高剛性を両立し、サーキット走行から日常走行まで一貫した安定性を実現しています。
さらに、フロント部分はアルミ合金を多用し、クラッシャブルゾーンを最適化することで安全性と軽量化を同時に確保しています。
サスペンションシステム
足回りには最新の ダブルウィッシュボーンサスペンション を採用。電子制御ダンパー(マグネティックライド)が組み合わされ、路面状況や走行モードに応じて瞬時に減衰力を調整します。
これにより、サーキットでは鋭いハンドリングを、一般道路では快適な乗り心地を提供する柔軟な特性を持っています。
駆動システム & トルクベクタリング
前後輪を駆動する4WDシステムに加え、前輪には左右独立のモーターが搭載されているため、電動トルクベクタリング が可能。コーナリング時には内輪と外輪に最適なトルクを配分し、旋回性能を飛躍的に高めています。これにより、重量級のV12スーパーカーでありながら、小型スポーツカーのような俊敏性を実現しています。
ブレーキシステム
標準装備されるのは カーボンセラミックブレーキ。
- フロント:10ピストンキャリパー
- リア:4ピストンキャリパー
これにより高い制動力と耐フェード性能を確保しています。さらに、回生ブレーキ機能も組み込まれており、制動時のエネルギーを効率よくバッテリーへ回収します。
ホイール & タイヤ
- ホイールサイズは フロント20インチ/21インチ、リア21インチ/22インチ の組み合わせ。
- タイヤはピレリ製 P Zeroシリーズ を採用し、日常用からサーキット専用まで複数の仕様が用意されています。
- さらに、オプションでランフラット仕様やトラック志向の「Trofeo R」も選択可能です。
アクティブエアロダイナミクス
シャシー性能と並んで重要なのが空力制御。
- 可動式リアウイング
- 電動制御リアディフューザー
- ボディ各所のエアダクト
これらが連動し、ダウンフォースとドラッグを状況に応じて調整。サーキット走行では最大限の安定性を、一般道では効率的な走行を可能にしています。
レヴエルトのシャシーと足回りは、従来のV12ランボルギーニを凌ぐ最新技術の結晶です。軽量かつ高剛性なカーボンモノコックと先進の足回り制御により、圧倒的なパワーを受け止めながらも俊敏で扱いやすい走りを実現しています。
ランボルギーニ レヴエルト ― 安全性能詳細
新世代の構造安全性
レヴエルトは新開発の カーボンモノコック「モノフュージョン」 を採用。ねじり剛性を25%高めつつ、アルミニウム製クラッシャブルゾーンを前後に設けて衝撃吸収性を強化しています。これにより、V12スーパーカーとしては異例の高いクラッシュセーフティ性能を実現しました。
エアバッグと乗員保護
キャビン内には複数のエアバッグが標準装備され、ドライバーとパッセンジャーを多方向から保護。シート構造も剛性を高めながら衝撃分散を考慮し、万が一の際も安全を確保する設計となっています。
ドライバーアシストシステム
従来のランボルギーニには少なかった先進運転支援システム(ADAS)を搭載。
- アダプティブクルーズコントロール(ACC)
- レーンディパーチャーワーニング(車線逸脱警告)
- ブラインドスポットモニター
- リアクロストラフィックアラート
これらにより、日常走行や長距離移動でも安全性を確保し、従来より扱いやすいスーパーカーへと進化しています。
ブレーキ性能
カーボンセラミックブレーキは耐フェード性能が非常に高く、制動力を安定して発揮。さらに回生ブレーキと統合制御されており、強力な減速とエネルギー回収を両立。電子制御ABSやESCも緻密に連携し、雨天や低μ路でも安心感のあるブレーキングが可能です。
シャシー制御と安定性
「LDVI 2.0(Lamborghini Dinamica Veicolo Integrata)」によって車両の挙動をリアルタイム解析し、サスペンション・トルク配分・エアロを統合制御。ドライバーの操作を先読みするかのような安定性を提供します。これにより、サーキットでの極限走行から一般道まで、常に安全マージンを確保しています。
ライト & 視認性
Y字型LEDヘッドライトとテールライトは高い視認性を確保。さらに夜間走行時にはアダプティブ機能により配光を最適化し、安全性を高めています。
レヴエルトの安全性能は「スーパーカー=運転に不安」という常識を覆す仕上がりです。剛性の高いボディと最新ADASの融合により、極限のパフォーマンスを誇りながらも日常で安心して乗れる新時代のV12モデルに進化しています。
ドライビングインプレッション
米『Architectural Digest』によるテストドライブでは、レヴエルトは「ヴェルデ・スキャンダロ」の鮮烈なグリーンが映える一台と評されました。電動モードでも静粛性が高く、V12独特のサウンドとハイブリッドの滑らかなパワーデリバリーが同居。雨天でも高いトラクション性能を発揮し、「パワーと洗練性の両立が見事」と絶賛されています。
価格帯と生産台数
- 参考価格:約60万~85万ドル(約8,000万~1億円)
- 年間生産:2024年実績で約1,400台を生産、全世界に出荷。
ギャラリー
まとめ
ランボルギーニ・レヴエルトは、伝統のV12パワーと最新のハイブリッド技術を高次元で融合させたスーパースポーツカーです。
アヴェンタドール譲りのアグレッシブなデザインに先進の電動システムを備え、日常域からサーキットまで驚異的なパフォーマンスを発揮。
ランボルギーニが次の60年に向けて打ち立てた、新たな「HPEV」時代の幕開けともいえる一台と言えるでしょう。
