はじめに
Ferrari 12Cilindriと12Cilindri Spiderは、フェラーリが誇る最後のフロントエンジンV12モデルとして注目を集める最新のグランドツアラーです。
1950〜60年代の伝統を受け継ぎつつ、次世代技術を融合した意欲作として大きな話題を呼んでいます。

デビュー・背景
Ferrari 12Cilindriは2024年5月3日、マイアミビーチで開催されたF1グランプリに合わせてクーペとスパイダーの両モデルが同時発表されました。
これはフェラーリ米国販売70周年を祝うイベントの一環であり、ブランドの伝統を体現するV12モデルの革新版として位置づけられています。生産は2024年第4四半期から開始され、2025年初頭より順次納車が進む予定です。

フェラーリ 12Cilindri & 12Cilindri Spider ― エクステリアデザインの特徴
デザインコンセプト
12Cilindriシリーズの外観は、クラシックフェラーリへのオマージュと、最新の空力技術を融合させたものです。特に、1960年代の名車「365 GTB/4 デイトナ」を思わせるロングノーズ&ショートデッキのシルエットが採用されており、現代的でありながらどこか懐かしさを感じるスタイルに仕上げられています。
フロントデザイン
- シャープな水平基調のフロントフェイシアを採用。デイトナを想起させる横長のブラックパネルがヘッドライトを一体化させ、精悍かつクラシカルな印象を演出。
- 薄型LEDヘッドライトは、シンプルながらも未来的なアクセントとなり、フェラーリらしいスポーティさを強調。
- 大きなエアインテークやボンネットの抑揚が、冷却性能と力強さを同時に表現しています。
サイドビュー
- ロングノーズと後方キャビンによるFRらしいプロポーション。流れるようなルーフラインが伸びやかで、GTカーとしての存在感を際立たせています。
- ドア下には大胆なスカルプトラインが入り、ボディに動きを与えるとともに、空気を後方へ効率よく流す役割を担っています。
- クーペはクローズドルーフによる伸びやかなラインが特徴で、スパイダーはリトラクタブル・ハードトップを備え、開閉時で印象が大きく変化します。
リアデザイン
- フェラーリ伝統の丸型テールライトを現代的にアレンジして採用。薄型化し、水平基調を強調することでワイド感を演出。
- アクティブリアフラップが組み込まれており、速度域に応じてダウンフォースとドラッグを最適化。機能美がそのままデザインに組み込まれています。
- 4本出しエキゾーストが中央寄りに配置され、V12エンジンの存在感をアピール。
エアロダイナミクスの工夫
- ボディ形状自体がエアロパーツとして機能するように設計されており、特にフロントバンパーやサイドスカートは空気を整流し、冷却とダウンフォースを両立。
- 底面はフラット化され、リアディフューザーとの組み合わせで高速安定性を確保。
- クーペとスパイダーで空力性能に大きな差が出ないよう、ルーフやウィンドフローに工夫が施されています。
カラー & ホイール
- フェラーリ伝統の「ロッソ・コルサ」や「ジアッロ・モデナ」に加え、クラシックなソリッドやメタリックカラーも豊富に展開。
- ホイールは20〜21インチをラインナップし、鍛造デザインやダイヤモンドカット仕上げなど、スポーティかつエレガントな仕様を選択可能。
まとめると、12Cilindriのエクステリアは「クラシックフェラーリの魂を現代に蘇らせつつ、最新のエアロ技術で完成度を極めたデザイン」。
クーペは流麗なGTとして、スパイダーは開放感と官能的なシルエットで、どちらもフェラーリらしい美しさを放っています。
フェラーリ 12Cilindri & 12Cilindri Spider ― インテリアの特徴
デザインコンセプト
インテリアは「ドライバーとパッセンジャーの両方が楽しめるGT空間」をテーマに設計されています。最新のデジタル技術を盛り込みつつ、フェラーリ伝統のシンプルで機能美を感じるレイアウトを踏襲。クルージング時の快適性と、スポーツ走行時の集中力を両立させています。
コックピットデザイン
- デュアルコックピット構造を採用し、運転席と助手席を明確に分けたレイアウト。
- ダッシュボードは低く抑えられ、視界の広さとスポーティな一体感を演出。
- シートポジションは低めに設定され、長距離移動に適した快適性とサーキット走行に必要なホールド性を両立しています。
ディスプレイ & 操作系
- 3スクリーン構成が最大の特徴。
- 15.6インチ:ドライバー用メーターディスプレイ(フルデジタル、走行モードやナビ情報表示)
- 10.25インチ:センタータッチスクリーン(空調、ナビ、メディア操作)
- 8.8インチ:助手席用ディスプレイ(速度や走行情報、オーディオ操作可能)
- 操作はタッチ式が中心ですが、ステアリングホイールにはフェラーリ伝統のマネッティーノスイッチを搭載し、走行モードを直感的に切り替え可能。
シート & マテリアル
- スポーツシートは軽量構造ながら高い快適性を確保。ロングツーリングでも疲労を軽減する設計。
- 素材は最高級レザーを基本に、アルカンターラやカーボンファイバーも選択可能。
- カスタマイズ性が高く、ステッチカラー、インテリアパネルの素材、シート形状まで幅広いオプションを用意。
快適装備
- Apple CarPlay / Android Autoのワイヤレス接続、Qi規格のワイヤレス充電を標準装備。
- エアコンはデュアルゾーン方式で、長距離移動時も快適性を確保。
- スパイダーではルーフオープン時の風の巻き込みを抑える工夫がされており、開放感と静粛性を両立。
オーディオシステム
- ハイエンド仕様としてBurmester製サウンドシステムを搭載可能。
- 15スピーカー、総出力1600Wの迫力あるサウンドを実現し、オープン走行時でも臨場感ある音響を楽しめます。
まとめると、12Cilindriのインテリアは「ラグジュアリーとスポーツを融合した最新GT空間」。
デジタル技術で利便性を高めながら、素材や作り込みには職人技を感じられる、フェラーリらしい贅沢な仕上がりになっています。
フェラーリ 12Cilindri & 12Cilindri Spider ― パワーと性能
エンジンの特徴
- 搭載されるのはフェラーリ伝統の 6.5L V型12気筒自然吸気エンジン(F140HD型)。
- 最高出力は 830ps/9,250rpm、最大トルクは 678Nm/7,250rpm を発生。
- レッドゾーンは9,500rpmに設定され、官能的な高回転フィールと迫力あるV12サウンドを楽しめます。
- エンジンはチタン製コンロッドやアルミ鍛造ピストンを採用し、軽量化とレスポンス向上を実現。さらにF1由来のスライディングフィンガーフォロワーを採用し、摩擦を低減しています。
トランスミッション & 駆動方式
- **8速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)**を搭載。シフトチェンジは極めて高速で、街乗りの滑らかさとサーキット走行のダイレクト感を両立。
- 駆動方式は FR(フロントエンジン・後輪駆動)。従来の812 Superfastの後継らしく、FRレイアウトならではのダイナミックな走行性能を備えています。
加速 & 最高速度
- 12Cilindri(クーペ)
- 0–100km/h:2.9秒前後
- 0–200km/h:約7.9秒
- 最高速度:約340km/h
- 12Cilindri Spider
- 0–100km/h:約2.95秒
- 最高速度:約340km/h
- スパイダーでもクーペとほぼ同等の加速性能を誇り、開放感とV12サウンドを味わいながら極限のスピードを堪能できます。
シャシー性能を高める技術
- Aspirated Torque Shaping(ATS):トルクを緻密に制御し、自然吸気エンジンらしいリニアな加速を実現。
- 四輪独立ステアリング(4WS):後輪操舵により、高速時は安定性を、低速時は取り回しやすさを向上。
- サイドスリップコントロール8.0(SSC 8.0):トラクション、スタビリティ、ABSを統合制御し、走りを最適化。
- マルチリンク式リアサスペンション:従来よりも接地性と快適性を両立。
ブレーキ & タイヤ
- 最新の カーボンセラミックブレーキ(CCM-R) を装備し、サーキット走行に耐える強力な制動力と耐フェード性能を確保。
- タイヤは20〜21インチを採用し、ミシュランやピレリの高性能スポーツタイヤが装着されます。
まとめると、12Cilindriシリーズは “最後の純粋な自然吸気V12 GT” として、圧倒的なパワーと官能的な高回転フィールを備えつつ、最新の制御技術によって誰もが操れる高次元のパフォーマンスを実現しています。
フェラーリ 12Cilindri & 12Cilindri Spider ― シャシーと足回り
シャシー構造
- ベースはアルミニウムを中心とした最新世代の軽量シャシー。
- 先代812 Superfastと比較して剛性が強化され、特にねじり剛性が向上。これにより、高速走行時の安定性とコーナリング時のレスポンスが大幅に改善されています。
- スパイダーではルーフ開閉機構を持ちながらも、補強設計によりクーペとほぼ同等の剛性を確保。
サスペンション
- フロント:ダブルウィッシュボーン式
- リア:マルチリンク式
- 最新の電子制御ダンパー「SCM-E Frs(サイドスリップコントロール対応マグネライドダンパー)」を採用。路面状況や走行モードに応じて瞬時に減衰力を調整し、快適性と運動性能を両立しています。
- リアは新設計のマルチリンクにより、トラクション性能やタイヤの接地性を強化。特にハイスピード域での安定感が増しています。
ステアリングシステム
- **四輪独立ステアリング(4WS)**を採用。
- 低速域では後輪が逆位相に動き、小回り性を高めて市街地やワインディングでの操作性を向上。
- 高速域では後輪が同位相で動き、安定性を確保して直進安定性や高速コーナーでの安心感を向上。
- ステアリング自体もクイックなギア比設定で、正確かつ俊敏なハンドリングを実現。
ブレーキシステム
- 最新の**カーボンセラミックブレーキ(CCM-R)**を装備。
- 強力な制動力に加え、耐フェード性能が高く、サーキット走行でも安定したブレーキフィールを提供。
- 大径ローターと軽量キャリパーにより、制動性能とバネ下重量の低減を両立。
タイヤ & ホイール
- 20〜21インチの大径ホイールを装備。
- ハイパフォーマンススポーツタイヤ(ピレリ P Zeroやミシュラン Pilot Sportなど)を装着し、グリップと安定性を最大化。
- ワイドトレッド化により、旋回性能とトラクション性能をさらに高めています。
電子制御 & ドライビングモード
- **サイドスリップコントロール8.0(SSC 8.0)**を搭載。横滑り防止、ABS、トラクション制御を統合管理。
- マネッティーノスイッチから選択できるドライビングモードにより、街乗りからサーキットまで幅広く対応。
- 電子制御がドライバーの限界走行をサポートし、V12パワーを安心して引き出せる仕組みになっています。
まとめると、12Cilindriのシャシーと足回りは「伝統的なFRの楽しさ」に「最新電子制御と剛性強化」を融合させた仕様。
日常走行での快適性からサーキットでの高性能まで、極めてバランスの取れた足回りに仕上がっています。
フェラーリ 12Cilindri & 12Cilindri Spider ― 安全性能
基本コンセプト
12Cilindriは「究極のV12 GT」でありながら、現代のスーパーカーに求められる**先進運転支援システム(ADAS)**をしっかりと装備しています。フェラーリらしいドライビングプレジャーを損なわず、安全性と快適性を両立する設計が特徴です。
アクティブセーフティ(運転支援機能)
- アダプティブクルーズコントロール(ACC)
高速道路やロングツーリングで、前走車との車間を自動調整しながら走行。長距離移動での疲労を軽減します。 - 車線逸脱警報(LKA/LDP)
車線を外れそうになると警告を発し、必要に応じてステアリング補正を行います。 - ブラインドスポットモニター
後側方の死角をモニターし、車線変更時の接触リスクを低減。 - 自動緊急ブレーキ(AEB)
前方に障害物や車両を検知した際、衝突を回避または被害軽減するためにブレーキを自動制御。 - 交通標識認識システム
速度制限や一時停止などの標識を読み取り、ドライバーに通知。
パッシブセーフティ(衝突安全性能)
- カーボンファイバーやアルミを組み合わせた高剛性シャシーが、衝突時のエネルギーを効果的に分散。
- フロント・サイド・カーテンエアバッグを搭載し、乗員を多方向から保護。
- シートベルトにはプリテンショナーとロードリミッターを装備し、衝撃を和らげます。
ドライビングセーフティ(走行安定性の補助)
- サイドスリップコントロール8.0(SSC 8.0)
ABS、トラクションコントロール、横滑り防止などを統合制御し、限界走行時でも車体を安定させます。 - 四輪独立ステアリング(4WS)
高速での安定性や低速での取り回し性を高め、ドライバーの操作をサポート。 - カーボンセラミックブレーキ(CCM-R)
強力かつ安定した制動力を発揮し、緊急回避時やサーキット走行でも信頼性を確保。
快適性と安全性の融合
- スパイダーではルーフオープン時の風の巻き込みを抑制し、乗員が不意に不快な乱流を受けないよう配慮。
- 夜間走行では先進LEDヘッドライトが広範囲を照射し、視認性を大幅に向上。
まとめると、フェラーリ 12Cilindriは「純粋なV12スーパーカーの楽しさ」に「最新の安全支援システム」を融合。
伝統的な走りの楽しさを守りつつ、日常使用やロングツーリングに必要な安心感をしっかり備えたモデルになっています。
ギャラリー
まとめ
Ferrari 12Cilindri/12Cilindri Spiderは、ブランドのV12伝統を締めくくるフラッグシップGTとして、最高峰のパフォーマンスと贅沢な乗り心地を両立します。
クラシカルな美学と最先端技術の融合は、まさに誰が読んでも納得の次世代グランドツアラーと言えるでしょう。
